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石油増産の困難な事情
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〈 2008年 6月 22日 日曜日 )
● 石油増産の余裕はない
石油価格がサウジの日量20バレル増産発表で横ばいになりました。石油市場はあれしきの、ビールジョッキに落ちる一雫であっても反応する微妙にバカバカバカシイ面がある。サウジが余分に出せる原油は質が悪く精製が高くつきます。中東産油各国高く買ってもらう方がいいにきまっている。増産して値下がりさせたくないないこともあるが、増産のキャパシティーはあまりないのが実情です。 22日、ロンドンで行われたOPEC会議で油田開発と生産力の向上に今後5年間に投資する額(2200億ドル)を決めるにとどまった。 ブッシュが米両岸のオフィショー開発禁止法案を廃止し、海底下に眠る石油・ガスを採ろうと言い出したが、反対より賛成が55%になったのですね。ガソリン高に音をあげる国民がいかに多くなったことか。 南米の石油・ガス埋蔵量は巨大です。ヴェネズウェラ、ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、特にブラジルのオフショーで発見された海底油田は気の遠くなるような量である。これら南米の産油国は全て国営で反米、中国の技術支援で開発して中国へ売るというから、米のエネルギー状況は中国より悪いんじゃないかとおもうほど。 ●不足するオフショー開発の特殊船 しかし、この石油価格上昇のあがりで、世界中の石油企業・公社が開発に狂奔していることは前に書いた。おかげでセイスミック探査船、試掘船、試掘リグは数年先まで用船契約が埋っていて、新規の注文に追っつけない。これらハイテク特殊船やリグを建造できる造船所も新規受注は数年応じられないウケにはいっている。用船料は1年で倍増した。ブッシユが号令かけても動きがとれない探査・試掘業界である。 しかも2000メートル級の海底を試掘するとなると、試掘船が風と海流にながされないようGPSと連携して自動操縦で定点を維持しなければならない。とてもハイテクでノウハウが必要なためこの業界に新規参入する事は至難のわざである。米両岸のオフォショーは悪い事に深く、対応するハイテク船は世界に20隻ぐらいしかない。増産といってもパっとできる種類のものではないのです。 ●世界第3位、イラクの埋蔵量 一方、イラクの油田は世界で最もかんたんにポンプアップできる地形にある、その埋蔵量たるやサウジと肩をならべるほどで、1150億バレル(といわれてもピンときませんが)あると評価されている。新油田を掘らなくても、現行の日量200-220万バレルなら100年だいじょうぶ。このままでも原油値上がりを考慮するとイラクの石油収益は08年度国家予算468億ドルをはるかにうわまわる。イラクの石油政策は、これを4〜5年のうちに日量400万〜450万バレルにしようというもの。イラクに支援金を出せと国際社会が言わなくなった道理です。 既にNYタイムズはじめ各紙が報道しているように、欧米メジャーの4社英蘭シェル、英BP、仏トータル、米エクソンモービルほか数社がイラク政府と石油技術支援サービスを30日に契約するはこびになった。もちろん将来の採掘参加、権利入札につながる一歩です。(続く)
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