安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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欧米初の盗聴法を可決したスウェーデン
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〈 2008年 6月 20日 金曜日 )


● 人聞きの悪い盗聴法を擁護する
スウエーデン議会が可決した盗聴法が内外ですこぶる評判が悪い。反対理由は言わずと知れた『プライバシーの侵害』です。人権に関する国連憲章の基本理念に反するという。そう言う本質論のほかに人権と福祉の先進国であるスウェーデンが中国、ロシア、サウジなどの盗聴国家と同列に見られそうで、人聞きの悪い法案ではある。

しかしわれわれ一般市民がテロの脅威から安全に暮らせるためには、有効な対抗措置が要りましょう? プライバシーの侵害といっても、週刊誌やメディアのスキャンダルでなし、ネット上での怪しい書き込みが読者から警察に情報が寄せられる情報時代である。政府が外国からの通信をチェックすることは「必要悪」として個人が幾ばくかの犠牲をはらってしかるべきであります。

この盗聴法は左派の反対が強かったものの、17日、プライバシー保護を強化すると約束して143:138票で可決された。実施されるのは来年からである。それまでに盗聴活動の監督を強化したり、データ監督庁と国会議員による委員会が立入検査する規定をつくるという。そのころまでにはスムースに実施できる世論に落ちつくだろう。

この盗聴法はブッシユの評判悪い通信傍受法と同じように、政府(情報局)が法廷の許可なしに外国からの無線、電話、ファックス、ネット/メールを盗覗する事が出来る。米の通信傍受法は上院を通過したが、民主党多数の下院でストップしたままです。ブッシュが時折『早くしろ』と叱咤しているが、ペロシ議長はやる気がない。

●法制化はプライバシー保護を明確にする
ということで、スウェーデンが欧米で真っ先に政府機関(防衛隊の通信本部)がおこなう盗聴法を可決した。素晴らしい。付随する適用法がオープンにされたことで総体として表に出ない政府系機関のスパイ活動が是正されるからです。というのは各国とも警察や金融監督庁など犯罪をモニターする機関は、裁判所の同意を(ルーチン的に)得て、特定の対象を国内・国外を問わず傍受し、事件によっては数年に及ぶ盗聴録音活動を行ってきた。しかも必要なら法廷に証拠書類として提出できる。

さらに、この盗聴活動を担うFRA (Föasvares Radiosentralt防衛隊通信本部)は10年前からスウェーデンの電話回線を録音し、Eメール/データ通信の記録を秘密裏に保存したうえ、18ヶ月後に抹消していたことがFRA長官の発言で明らかになった。おそらく欧州各国の多くも事情はおなじだろう。表にださないだけだ。そういう実態を踏まえて今回の盗聴法を見ると、よりオープンで情報化時代に適した法案ができたとおもう。

実際、欧州で起きるテロの計画と実行者の殆どが、携帯とネットで連絡をとりあっているこんにち、これを情報局が傍受してキャッチるシステムを法制化せず、秘密に行っているほうがタチが悪い。(了)



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