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カルザイ、パキスタンに逆越境攻撃を宣言
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〈 2008年 6月 17日 火曜日 )
●アフガンでの米兵死亡者、イラクを超える
アフガン情勢が改善しない。欧州は国内のサポートが得られない支援を渋り、増兵がすすまないまま、特に危険地区を受け持っている英軍は今年すでに100人以上の犠牲者をだしている。米兵の5月死亡者はイラクの米兵死亡者を上回った。隣国パキスタンが新政権になってから一段と悪くなっています。 情勢がこう悪くなると、派兵削減を探る西側各国派うしろめたいのだろう、今年のアフガン支援金を話し合ったパリ会議で昨年の2倍に及ぶ拠出があり、日本も米英独に続く恥ずかしくない5億5千万ドルを拠出。総額200億ドル(2兆2千億円)、といっても出しますという約束ですから、 チャンと履行する国は表明67カ国の半数ぐらい。毎度のことである。日本はどの国よりもキチンと支出する律儀な国であります。バン・キムーンはもちっと日本に感謝しても良さそうですがね。 ●タリバン、捕虜奪回する このアフガン支援会議が12日閉幕した翌13日、カンダハルの刑務所をタリバン兵が襲撃、仲間のタリバン捕虜400人を解放した。ついでに犯罪受刑者約600人も脱走、刑務所はモヌケの殻になりました。このカンダハル刑務所はアフガニスタンでも有数の大型刑務所だが、数十人のタリバンチームがカーボンブと携帯ロケット砲で破れる脆弱な施設である。刑務所壁は日干しレンガで正面だけに鉄門があり、ここから内側は近代刑務所の構造に作られていない。警備員に囲まれタコツボ型のオープングラウンドとか、細い迷路型の通路といった工夫がなされていないのです。 ●カルザイ、パキスタン越境攻撃を宣言 とまれ、カルザイ一族の出身地であるカンダハルがタリバンにしてやられたとあっては、カルザイ大統領が黙っていまい。タリバンの退却聖地であるパキスタン国境地帯を野放しにするパキスタンにへの不満が募る。その前にアフガン国軍とパキスタン軍が国境で交戦して互いに死者をだした衝突があったから、15日のパキスタン政府攻撃のプレス・スピーチはfed up「もう我慢ならぬ」とつぎのように過激です。 "Afganistann has the right to self-defense, and because militants cross over from Pakistan to come and kill Afghan and kill coalition troops, it exactly gives us the right to do the same." 『アフガニスタンは自衛の権利がある。武装兵がパキスタンから越境攻撃を仕掛け、アフガン兵を殺し同盟軍を殺しているからには、我々も同じ権利がある』。われわれの常識では「宣戦布告」ですな。 続いて、タリバン指導者メスードを名指して、隠れ家まで追跡し射ち取っやると、またパキスタンのワジリスタ南部に潜むタリバンの隻眼指導者オマール師(ロシア軍を追い出したタリバン政権の最高指導者、顔写真がないため取り逃がした)とその一味に "we will get them and we will defeat them. We will avenge all that they have done to Afghanistan for the past so many years." -----長年のカキをはらしてやる! ●パキスタンの反撥と米のほくそ笑み このいきり立ったカルザイに、パキスタンのギラニ首相が抗議しています。この面ではザルダリもムシャラフも同意見だろう。ブッシュは心で喜んでしかし表向きなんとコメントするのでしょう。いままでは絶対権力者であったムシャラフに遠慮してカルザイとの仲を取り持ってきたのですが、ザルダリが親タリバン武装派と不戦協定したためタリバンの越境攻撃がうなぎ上りに増加し、同盟軍が苦しめられている。表向きがどうあろうと、ここはカルザイをけしかけたいだろう。 16日、ブッシュ最後の訪問地イギリスで首脳会談の後、ブラウン首相がアフガニスタンへUK軍230人を増派すると発表。よくまあ不人気なアフガン増派を決断しましたね。派兵NATO 軍の盟主としての責任か、エールをおくります。(了)
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