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北極、海底資源のたたかい
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〈 2008年 5月 30日 金曜日 )
●北極点の海底に立つロシア国旗
07年8月2日、プーチンは北極点の海底にロシアの旗をたてた。5日おいて8月7日、早くもカナダ首相ハーパーがUse it, or loose itとばかり、コーワリス諸島の最北端の小島に着陸、このハンス島に軍事基地を建設すると宣言した。ハンス島の断崖には以前からカナダ国旗がはためいているが、このハンス島はグリーンランドを領土とするデンマークが自国領だとして係争中である。プーチンが極地海底にロシア旗を突き刺したとき、北海石油屋さんたちはあのとき顔色が変わった。笑い事ではない。カナダ首相も真っ青になっただろう。 あれは、ロシアの了承無しに何人も北極海海底資源に手を出すなという意思表示にほかならない。この海底に世界の石油・ガス埋蔵量の4分の1が隠されていると言う人もいる。デンマーク-グリーンランド地質調査所(GEUS)のFlemming Christensenが公言したしたリーズナブルな予測でも世界の10〜15%はある。 ●北極海の資源を開く温暖化 そして地球温暖化が大半の原因だと思われる極地温度の上昇によって北極の氷は急速に融けつつある。10年前には北西航路や北東航路をオープンするため関係国が真剣に協議を続けてきたが、ピタリと中止になった。この協議は砕氷船でリードしたりダイナマイトで氷を割っていつでも北回り航路が通れるなら、横浜からロッテルダムまでスエズを通るのにくらべ、40%も短縮できるというので方策が研究されてきたが、会議はもう不要。人間がなにもしなくとも数年のうちには北極の氷はスカスカになるだろう。 したがって、海運よりも北極海資源の取り合いが心配だ。無法地帯にしないよう、来週から領海法で権利をもつ5カ国が集まり資源開発の共同政策、北極海域の線引きを話し合う事になった。実際に北極海底の資源を掘るのはまだ早くて10年先になるが、とにかく話し合いの緒についた。 ●領海法で北極海を分割する5カ国 会議は米,カナダ、デンマーク/グリーンランド、ノルウェー、ロシアの五カ国代表ががグリンランドの寒い町イルリサト(Ililissat)に集まってで行われる。難しいテーマはこういう寂しい遊ぶ所もないところで集中的に行うと密な話し合いができる。 北極はご承知のように南極のような大陸ではない。氷が覆っている海である。そのため国連海洋条約にもとずく領海法を適用し、5カ国で北極を分け合うことが国際法に違反しないという論法なのですが、それで他の国が納得するか、資源保護の聖域にしてしまえという意見もある。ボサっとしてると後の祭り、実は日本だって一言注文する資格がある。スバルバード条約署名国である日本は資源採取の権利を保有する。いまや有名無実の条文だが、言って損はない。 また200海里を超える海域はセンターラインで決めればさそうだが、ここにも日中間の東シナ海の線引きを中国が自国の大陸棚が延びている所まで主張するのとと同じで、ロシアは大陸棚で線引きしようという。(続く)
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