安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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急変した中国の災害対応
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〈 2008年 5月 16日 金曜日 )


●対応に中国の「あせり」
中国が国内で起こる災害をこれほど素早くしかも大量に報道したことはなかった。官製報道がリードし、それに民間報道が愛国的に呼応した様相は、やはりオリンピックを何がおころうと成功させねばならな心理がつき動かしたとおもう。内外の状況に中国は「あせり」を表わした。

そのあせりは対策本部長の温家宝首相と軍幹部が、解放軍をとにかく被災地に行けと準備不足のまま派遣したことによくあらわれている。地震救援は時間との競争、3日以内とわかっていてもショベルカーなどの重機が到着したのは5日目ぐらいからである。イラク多国籍軍に匹敵する数の解放軍を即座に動かす機動力はなかなかのものだが、中国伝統の人海戦術では限界がある。部隊の中には不眠不休で歩いて被災地に向かったという。

●ジーピンプ・ダムに登る解放軍
震源地からちかい観光地・都江堰の上流に紫坪舗(Zi Ping Por)ダムがあり、ここが決壊すると都江堰市は全滅するところから、このダム上に出る数百段と思われる階段を、2列で黙々とのぼる素手の人民軍の映像をみた。実際ダムのコンクリにあちこち亀裂が入っているというのにその横を危険をおかして・・英雄的と見るのは大時代的だ。へりでセメントや注入材を運んでいるかもしれないが映像にその場面はない。人民日報英語版によると被災したブン川県には15のダムがあるという。そのいくつが発電停止になったのか書かれていないが、火力発電の送電を増やして徐々に電力供給は回復しつつあるという。http://english.peopledaily.com.cn/90001/6411000.htmlとにかくひとつも決壊しなかったのは、あの国の手抜き工事をおもうと奇跡にちかい。

山峡ダムは工事中から地震を観測しているが、ここは表層の地崩れでプレート型地震はまだ経験していない。しかし貯水圧力による地下水脈の変化によって岩層が動くと地震を引き起こす。そういう可能性は否定できない。そのときは山三峡ダムが決壊する時である。

●国際化への中国流変化
中国の変化は報道があいかわらず官製ではあるが、国際化へのソフトな変化はおおいに歓迎したい。
列挙すると ○海外ジャーナリストを自由に取材できるよう配慮。史上2番目という規模の唐山大地震のときは国内にさえ殆ど知らせず、隠蔽した。このときの死者25万人はUSGS 統計で推測数となっている。 ○海外支援の受け入れ。過去の地震、水害、炭坑災害などで海外支援の申し出を間に合ってるとことわってきた。○八方友好外交。捜索犬ほか救援物資と救援人員を派遣することに官民報道が一体となって感謝し大々的に報道。台湾からの支援も喜んで受け入れ、やはり宣伝している。小泉純一郎と陳水扁がいなくなると豹変した・・ではこまるのだが。(了)

追記:
先回英文資料からロンメンシャンLongmenshan断層と書きましたが、中国表記では「竜門山断層帯」と判明。

このところながら仕事はもっぱら音楽でしたが、米のニュース番組をラジをで聞いている。米女性記者が被災地で救出敵わぬ家族に張り付いて取材している長時間のドラマを、短くし多番組があって、家族と一緒のドラマですから泣きながらです。手に入る小さなレコーダーの取材ですから、被災家族の邪魔にならず互いの共感が醸成されて感銘した。一方、地方ラジオを聞いていると中国経済に幻惑し軍の機動力を賞賛する親中国の米記者が、日本や台湾の支援を売名といってのけました。アメリカに住む日本の方々はこういう輩を相手にしなければならい経験をおもちでしょうな。海外に住むと手こずることが多い。



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