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紛争地イエメンの観光客
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〈 2008年 5月 8日 木曜日 )
●イエメン部族たちの悲哀
イエメンで拉致された二人の日本人観光客が、一日たらずで解放された。政府側に囚われの仲間とスワップするため二人を拉致したのだが、部族長に諭されて釈放したようだ。。何よりでした。でもなぜまたあの地域に観光旅行に出かけたのか、ひとことで言えば『無知』。 イエメン沖とマラッカの海賊はつとに有名で、日本タンカーがつい最近襲われ、さいわい近くにいたフランス艦艇に助けられた。イエメン沖で被害に遭わないのは中国船籍くらいです。理由は言わずともわかるだろう。またオサマ・ビンラデンが一時ここで再起を図り、アルカイダの訓練地でした。 部族が割拠しした状態で千年以上暮らしてきた中東やアフリカの国々で、部族社会が統一される前に国連を含めた列強のキモ入りで統一政府を造形、新生独立国が作られた国々はどこもうまく機能していない。アフガニスタンはその典型である。 ●多数派スンニ政府とシーア部族 イエメンのスンニ政府に対して不遇をかこうシーア部族たちは、武装して反政府活動をおこなっている。要求は差別待遇に抗議し、部族の伝統を守るというものですが、テログループもあり、今回の事件に関与していないが反乱派のリーダーはフーチという名の男(今回の事件に関与していない)。即ちアルカイダ・テロリスト、と定義した米が特殊部隊を駐留させて政府軍を援助している。二人が拉致されたとき、イエメン政府が「アルカイダの犯行」と公言するのはそのためである。とにかく外国人にとって世界中で最も危険な地域なのです。 しかしそういうこと無頓着な人って世界にはとても多いのですね。ひとつにはイエメンが外貨獲得のため観光宣伝に力を入れているので、だいたいどこの国にもひとつはイエメン観光を扱う旅行代理店がある。安全だとおもってしまうのかしら。常習的に外国人旅行者が拉致され、ま、殆どはすぐ解放交渉がまとまるのだが、殺害された事件もいくつかある。日本人観光客が見に行ったマーリブMaaribは首都サヌアから日帰りできる場所にあり、往復に警官がつきそい、ダム遺跡には治安兵が常駐している。このダム遺跡の治安兵が4月に攻撃をうけてが死亡したばかり。こういう事前ニュースをイエメン観光業者は言わないが、各自でチェックしたのか疑わしい。 ところでイランで拉致された男性中村さんはまだ解放されませんね。心配なことです。(了)
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