安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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胡錦濤来日、親善という名の偽善
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〈 2008年 5月 6日 火曜日 )


●警察国家をおもわせる警備体制
今日は胡錦濤が来日する日、異常に厳しい警護の準備が伝わってくる。抗議デモや垂れ幕が主席の目にふれないよう、というのが警護担当トップから発せられたモットーというのですが、ほんとうですか? 事実なら日本のイメージが悪くなるなあ。ま、雑音をまき散らす右翼の街宣は近づけないにこしたことはないとしても、胡錦濤ご一行の道を妨害しない平和なデモを事前に排除するなんてのは独裁国家のやることです。デモの統制が崩れ出せばそのときになってから警備隊が阻止すればよい。来訪する首長に抗議のポスターや垂れ幕をお見せするのは市民のささやかな権利、それを許さない国は警察国家といわれますよ。

もし、警備を完璧にしたおならG8や世銀の国際会議のように隔離されたリモート地で日中首脳会議開催すればよろしい。。福田首相は「相手の困る事はしない」という殊勝な政治家、歩み寄りと融和の人ですから胡錦濤を迎えて中国へなにごとかを迫ることは期待できない。世論調査の支持率18%ですから、わたしなどはまだ福田さんに期待する方なのでしょう。しかし対中国に関して言うべきことを言わない福田首相と胡錦濤が首脳会談をしたところで討議するべき議題、ギョーザ、チベット、東シナ海ガス田懸案事項が実質排除されている。だから沖縄や北海道で隔離して行っても意味がない。

●買わされる一方的な中日親善
中国側の意味は中日親善新時代である。日本の対中感情が悪い時期に、中国がなぜいま日中友好親善を喧伝したいのだろう。私感ですが、福田首相が御しやすいと判定したこともあろう、親中国の政治家や実業家、利益団体はすくなくない。また日本政府の警備体制がフランスのようにチャランポランでなく、日本警察に信頼を持ち過ぎかもしれない。なにしろ胡錦濤サマの見たくないものは見せないという警備体制だもの、中国は満足だろう。「主席ご一行を歓迎する日本国民」の抜粋された映像が中国に送られ、そこでまた編集されて美しい日中友好がうたわれる。見たくないね。

●鑑真と日中交流の歴史
胡錦濤は鑑真ゆかりの唐招提寺と薬師寺に行く。鑑真は執拗に日本渡航を企て最後は盲目になってこの地にたどりついた坊さん、仏僧というより超人的な冒険家である。三蔵法師しかり、日本側から渡った空海もしかり。古来、名僧と崇められる根拠は日常を脱した超人的行動にある。寺院内でいくら研鑽をつんでもせいぜい学僧、カリスマ名僧にはなれなれません。

ま、それはそれとして、本国のお寺に参詣などおそらくした事がないであろう胡錦濤がなぜ唐招提寺や薬師寺に行くのか、中国では無名の鑑真を本国に紹介し日中の歴史的絆を示すメディア効果です。ハイ、お寺さんに行きたいならご自由にどうぞ、反対する理由はひとつもない。あのあたりの名刹でふんぞり返っているご坊たち、特に管長は衆生と目を合わせない雲上人にしてダライ・ラマとは見る方向が逆でね、大物には嬉々としておつきあいする。胡錦濤の訪問をお迎えするその管長らのへつらいぶりがみものですな。

●ダライ・ラマに背を向ける名刹の管長たち
さて、国際世論に圧されてダライ・ラマ側と会話を始めた中国政府ですが、西側の批判を封じるのが狙いのゼスチャーであり、ここも実質討議はありえない。胡錦濤はチベット自治区の中国化政策に最も深く関わり、武力制圧もやってきた。北京にきたダライの代表にさんざ中国側の要求をつきつけ、顔を洗って出直して来いと威嚇したいだろうが、そこはなにごともオリンピックのため、ゆっくり歓待して次回はオリンピック後につなげることになろうか。(了)



Pnorama Box制作委員会

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