安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラク公聴会でのヒラリーとオバマ
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〈 Wed 04/09/2008 )


タイトルは異なりますが、前回の続き、公聴会におけるヒラリーとオバマの印象です。なお、前回は書きっぱなしで、誤字・誤記・意味不明な作文でありました。スラスラわかりやすくをモットーにあちこち書き直しましたので、再読してお口直ししてくださいまし。

●端正におえたヒラリー
ヒラリーは上院軍事委員会のメンバーであるが、議員の年功序列はジュニアである。ために火曜日は朝早く開会時のペトレイアス司令官とクロカー大使のStatus of Iraqから会場に出ていたヒラリーは3時間待ってやっと彼女の番がきた。質問の2番手だったシニアのマケインは既に退出したあとだ。ペトレイアス(以下PTR)の証言は自ずとマケインに有利である。

ヒラリーは昨年9月の公聴会で、「次期大統領はわたしよ」といわんばかりの態度でペトレイアスの増派効果の予測を一蹴した。あのときはオバマもマケインもまだ頭角をあらわしておらず、大統領選のトップランナーとして高飛車にでたのであるが、以来イラク情勢は目に見えて好転した。あの失敗に懲りたか、今回はマニュスを準備して落ち着いて自説を展開、出来映えはよかった。証言するクロカー、ペトレイアスも真剣に答え、もちろん意見は噛み合ないけれど、選挙戦で落ち目のヒラリーはやや点を稼いだとおもう。質疑を交えて15分の持ち時間内にキチンと収めたのは見事。ヒラリーはラリーでの演説がいまいちだが、政治指導力はおもいのほかある印象をうけた。ま、見直しはしませんが。

●要領をえないオバマ
オバマは上院軍事委員会ではなく午後開かれた上院外交委員会のメンバーである。そこでPTR、Krockerご両人を審問するのですが、イラク政策ではヒラリーと殆ど変わらない。ヒラリーと同じ事を言う訳にも行かず、話し出したがどうも要領をえない。オバマの語法はグリーンスパンのような持って回った言い方で、考えながらとぎれとぎれに話すから要領をえない。PTRの答えにしきりに「オーケーそれはいいんだ」と遮る。あれは答える方も質問がわかっていないんだな。

そうこうしているうちに持ち時間が迫り、議長に「言っておきたい事があるのですこし時間をくれ」と。タイムアウトのまえなので議長は許可したが、ここからイラク侵攻がそもそも筋がとおらない、現行政策は根本的にまちがっているとオバマ節が全開した。もうとまらない。結局かなりタイムオーバーした。「イラクにあなたPTRのやりかたで治安回復のメドがあるのか、20年か30年かわかりゃしない」との言葉に、PTRの証言を聞きたかったが時間切れで答えはなかった。

余談ですが2日目下院に移った公聴会で、ここはひとり5分と短いため質問するまえに自説で終わってしまう議員さんがいた。曰く:米兵は疲れ果てている、地元は戦士者と帰還兵の苦情で満ちている。米兵は限界だ即刻イラクから手を引けという趣旨でこの黒人議員さんはなかなか迫力ありました。議長に時間切れを告げられ、ペトレイアスがキョトンとしている。たしかにそう、米兵犠牲者は10代、20代前半の黒人兵が統計上最も多く(有色人兵士の死亡率と白人兵士の死亡率比較)、イラク市民への犯罪の多くはこれら若年黒人兵である。兵の質が低下し補充兵に限界がみえる。

ヒラリーは米軍撤収を在任6ヶ月内に開始し、「秩序ある撤退」Orderly Withdrawalを行う。駐留を続ける事は無責任。マケインの早期撤退は無責任と対極である。
オバマは16ヶ月で完全撤退、大使館警護に少数の兵をおくのみとし、「計測した撤退」Measured Withdrawalという。おなじことでしょ、ライバルは使う用語まで替えなきゃいかんのですかな。ところで、ペンシルベニア予備選にオバマ陣営は4億ドルを投入、クリントン陣営は1億ドル、同じレベルなら金力がモノをいう。公聴会でのオバマ不成功は影響ないだろう。

● イランと協力すべきか、制裁強化すべきか
オバマは「誰も急激な兵力削減を欲しないが、計測した撤退とイラク政府自立への圧力とイランを含めた外交努力」を唱えている。イランとの協力についてはマリキ首相が「隣国イランの影響は余りにも大きく、友好関係は不可欠の要素。米イの対話を切望する」とニック・ロバートソン(CNN)の単独インタビューでハッキリ答えている。

しかしそれはないよ、許せない米人はおおいだろう。おもうに論点はイランと米の対話が不可欠かどうかだ。核兵器に転嫁する疑いがとけない本格的なウラン濃縮に着手、イスラエルを地図上から抹殺、ホローコウストはでっち上げ、イラク武装派を支援する、そんなイランに米政府がお話しましょうと出られるか。話のできる相手ではない、卑屈に感じるアメリカ人は多い。

それにしても公聴会で審問を受ける政府の上層はきびしい。とても調和を好み争いを好まない日本人にはなじまないですね。火曜日9時間、水曜日もPTRとクロッカーは低い床面の証言席で神経がやすまらない。(了)



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