安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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文にもあらず、武にもあらぬ福田の宮
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〈 2008年 4月 1日 火曜日 )


●福田康夫の宮廷クーデター
とは言い得て妙。で、反射的に「文にもあらず、武にもあらぬ四の宮」なる故事におもいあたる。これは享楽に耽った後白河法皇を評した文言だが、そのかわり後白河には武家・公家どもを手玉に取る手腕があった。福田首相にはそれもない、知略までもさらさら欠ける。

というようなことを、期限切れになったガソリン税の暫定税率が失われる事態に『政治のツケを国民に回す結果になったことは、心よりおわびする』と、イヤミのある言い草だ。頭を下げた首相をヴィデオニュースを見ながらつくづく思い知る。お詫びしたうえ、租税特別措置法改正案を衆院で再議決し、暫定税率をあげて道路特定財源に取り戻した上で、イアマークつきにもかかわらず用途がでたらめだったこの道路特定財源を一般財源化(2009年)すると開き直った。

●「窮すれば濫す」つなぎ法案
道路関連の暫定税率をのぞく「つなぎ法案」が与野党多数で可決されたが、これをもって首相の知略によるとはいえない。「窮すれば濫す」たぐいの自民党苦肉の策である。お詫び以外の措置法改正は賛成である。道路族、トンネル族の驕慢は筆者が60年代代いた日本で見聞してる。その後道路網の発展とともにますます巧妙になったとおもわれる。

ガソリン税失効により道路事業が遅延、道路族には一泡吹かせる結果となるが、抜本的にはやはり一般財政に組み込んでのち配分する方が効率的だ。

●国民を愚弄する首相のお詫び
福田首相に話をもどそう。まず、氏の連発する国民へのお詫びについて、年金調査の不完を詫びずして、与野党の攻防に負けた決議の件で首相の謝意を承け容れる市民がいるだろうか。お詫びするより国民の批判を甘んじて受け入れ野党の非を叫ぶべきところを、小沢党首を攻撃するどころか少し前のTV番組で大連立構想が小沢提案であったことを明かしたうえで、「小沢代表も、こういう事態はよく察知され、『連立を考えよう』という提案をされたと私は思う。小沢代表と同じ気持ちだ」ともちあげた。ガソリン暫定税率へのよしなを民主党に願ってか、この野党党首への甘言は知略のつもりなのでしょうか。火消し役たる幹事長の記者会見にはよいが、首相が言ってはリーダーが務まらない。

与党多数の衆議院で再可決という宮廷クーデターは、法定手続きで可であっても抜いてはならない伝家の宝刀みたいなもの。この方法でゴリ惜しするなら首相たるもの能力は2の次でよいことにり、議会民主主義はあって無きが等しい。つまり「濫する」のである。

●ガソリン値下げと政党への影響
とまれ、ガソリン税失効による値下げで被害者と受益者のどちらが優性かによって、福田か勝つか小沢が勝つかが決る。損する自治体、経済界、運送業、GS業界などの泣きごとが自民党に利し、ガソリン代が安くなる消費者の胸算用が民主党につく。思想や倫理であってもお金がからむと現実は無味乾燥な我欲の世界であえる。テメエの懐具合しか頭にない風潮の世の中、このままでは選挙にさえ勝てばそれで目出たしとする小沢一郎・四の宮が天下を取るだろう。(了)



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