● パキスタンの実力者におさまったザルダリ
ザルダリの権謀策術をあなどっておりました。ベナジール・ブットの陰に隠れて不正ビジネスで起訴状を六つ、そのうちの一つふたつで十数年の実刑だが、数年収監されたあと恩赦をうけている。たほかにも夫妻はスイスからマネー洗浄で有罪判決をうけ、パキスタン国庫に返還させられたことがある。かような別居同然のプレイボーイが、夫人がなくなるとマンハッタンを引き払ってブット本家のヴィラに引っ越し、主におさまった。ブット後継息子の後見人として人民党副総裁に就任。この地位を利用して人民党の交渉役として情報を独り占め、いつのまにか党内に忠誠派をつくり党首ファヒムとの覇権争いに勝って人民党を完全に掌握した。
●下院議長と首相はザルダリの側近
以前のコラムに書いた下院議長のおばさんDrファミダ・ミルザ(51、写真左)はザルダリの長い友人である。
右の写真はこのほど連立与党で首相候補に決ったジラニ(Yousaf Raza Gillani, 55)、やはりプレーボーイで、ユーチューブにセクハラ現場のビデオがある。ネットアドレスは書きませんが上記本名から探せます。本来ならPPP党首としてベテランでこの国では希有なクリーンハンドのファヒム氏が当然首相に推されるとおもわれていたが、この人は座して待っていた。インドの哲人宰相のように担ぎ上げられるのを待っていたのですな。で、権謀に長けるザルダリにしてやられた。
ジラニは月曜日、与党大多数の議会で正式に信任投票され、組閣を開始する。30日以内にムシャラフに解雇された最高裁と高裁の判事60人を復職させることで連立与党が合意している。
●数ヶ月でザルダリが首相に
ザルダリが前言を翻して首相になるべく、下院補欠選挙にでることは以前書いた。一人の議員に引導を含め、数ヶ月後にはザルダリが首相資格である議員になる。そしてジラニと交代するシナリオである。ザルダリや他の汚職犯と同様にジラニも刑務所で実刑数年すごした。ザルダリと同じ不正嫌疑に関連して有罪になっている。4年半刑務所にいたことがあり、そのとき刑務所で書いた自伝-もちろん都合のいいないようですが評判になったという。大学はジャーナリズム専攻でした。ムシャラフがいつまで大統領を続けられるかわからないが、大統領権限が弱まり、首相の職権が強くなる。絶対与党を背景に夏からザルダリが首相としてパキスタンの実力者となろう。ところでロンドンにいる未成年の後継ビラワリ・ブットは沈黙を守っているのではなく、父ザルダリによって沈黙を余儀なくされています。(了)