安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ウゴ・チャベスと隣国とゲリラたち
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〈 2008年 3月 10日 月曜日 )


●コロンビアを巡る口論に終止符
ヴェネズウェラ、コロンビア、エクアドルの争いはニカラグアも加わってコロンビアと外交関係を絶つまで発展したが、これがどして危機なの?という理解でコラムには取り上げなかった。チャベスがコロンビア国境に兵を結集したからって、あれは威嚇だけです。チャベスは国内では武力、対外的にはムチャわめくけれど他国へ攻め入るマネはしない。で、7日、ドミニカ共和国で開かれたラテンアメリカ・サミットで、一同喧嘩がいちだんらくしたところでシャンシャンと手打ち。全てもとのさやにおさましました。

コロンビアの親米白人系ウリベ政府がFARCゲリラのリーダー、ラウル・レイエス(本名Luis Edgar Devia Silv)の拠点をエクアドル側10キロぐらいだったか入ったキャンプを空爆してレイエスと20人のゲリラを殺害した。レイエスはチェ・ゲバラやカストロのようなカリスマでなく風采の上がらない、キューバのラウルと似てるなあ。したがってゲリラオタクに人気がなく、Tシャツだって見たことない。ではあるが、FARCゲリラ組織はいっぺんに弱まります。

ウリベはそのあたりの事情を天秤にかけて稲妻越境空爆をしかけた。エクアドルのラファエル・コレア大統領、またウゴ・チャベスが介入してくるだろうことは想定内での攻撃だった。コレアは事前通知がなかったことに反撥したのであり、FARCを取り締まっていないが、肩入れしているわけではない。

●チャベス、ウリベをこき下ろす
一方のチャベスは非難演説を効いてたまげたのですが、他国へ武力侵入した非を糾弾するにしても外交用語があるだろうに、ウリベを大嘘つきの馬鹿野郎、米の手先でギャングとめちゃくちゃですわ。コロンビアは南米のイスラエルとうまいことも言いましたが……。せんだってチャベスがFARCの人質を解放させ国際評価を受けてこれで一勝、しかしFARCゲリラと通じていることはあきらか、物資支援の疑いも濃厚である。あまりウリベを非難すると米情報部も加わって証拠とやらを世界中に提示されそうだ。

もちろんチャベスはFARCを米帝国主義から解放する正義の民族蜂起と位置づけているから支援するのですが、FARCのやってることは拉致誘拐、麻薬製造販売である。コロンビア麻薬のシンジケート、ちょうどタリバンが世界の大麻の90%を栽培するアフガニスタンの販売経路を握っているのと同じである。タリバンのリバイバルは芥子の栽培量と平行に相関するように、FARC最近の衰えはコロンビアの麻薬摘発強化とX型に相関している。

ニカラグアが大使をボゴタから引き上げたのはチャベスに義理立てしただけ、石油をタダ同然で貰っているため。石油と言えばチャベスは盟友カストロのキューバにただで供給している。ゆえに、チャベスが転べばキューバ経済は崩壊、共産体制がかわる。

FARCのNo2であるイヴァンリオ、本名Manuel de Jesus Munozが、空爆の翌日仲間に殺されいた、と7日に公表された。ウリベは大胆な賭けに勝ち、チャベス一敗である。ちなみにフジモリも日本大使館人質事件では大胆な賭けに勝った。ウリベはこの先どうなるだろう。(了)



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