安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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パキスタン人民党、首相候補を6日に確定
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〈 2008年 3月 5日 水曜日 )


●ムシャラフ、地位を楽観視
パキスタンでは反政府テロとカウンターテロの応酬で相変わらず物騒な状況下で、ムシャラフや過半数を占めた野党連合の情勢についてフォロウしておこう。

ムシャラフの「ムスリム同盟Q」は各州自治政府で連立を模索している。プンジャブなど一つ二つの州ではひょっとするとできそうだが殆どの州はブットの「人民党」PPPとシャリフの「ムスリム同盟N」PML-N連合に阻まれて可能性はゼロに等しい。ムシャラフは選挙を滞りなく治安を果たしたことに満足し、自分で選んだキアニ国軍最高司令官と良好な関係を保っている。月曜日にキアニのキャンプ事務所を訪れ諸々のイッシューを話し合った。パキスタンは野党連合がいくら民主化を訴えたところで、軍のバックがなければことは進まない。孤立したといえ、軍をシッカリ味方につけているムシャラフは大統領地位に自信を深めたようだ。

これには野党幹部とムシャラフの直接・間接のコンタクトでムシャラフが「どのような内閣とも協力する」との姿勢に抵抗し難くなった空気の変化と、実務的な内閣づくりが急がれるため選挙用のイデオロギーにかまっていられなくなった二つの要因がある。PPPスポークスマンのババルは>The most important priority with the party was to correct constitutional imbalances and not the future of President Pervez Musharraf. 優先課題は憲法上の諸問題を改正することであり、ムシャラフ大統領の将来ではない。< このように党の方針を語っている。

このことはムシャラフの憲法違反を審査することと同義であり、大統領の去就に関わる注目点、3ヶ月以上はかかるだろう。

●パキスタン、首相候補6日に確定
最大野党PPPは党中央委員会のメンバーをいつでも召集できる体制できょう明日にも委員会がひらかれ首相候補を選出する。これを6日党の議員総会にはかって正式に決定されPPPとPML-N との野党連合による内閣づくりにはいる予定。ただしPML-Nとの連立が具体的になにもきまっていない現状では組閣に日数が」かかりそうだ。

後継子息と共同党首であるザルダリが中央委員会と、党議員総会を議長として取り仕切るが、実力者No1の本人は立候補しない。ザルダリは国会議員でないため首相の資格がないというのが表面的理由だが、しかし議員一人を身代わりにして補欠選挙でいとも簡単に議員になれる。立候補しない理由はやはり敵が多いからだろう。

首相にはヴェテランのファヒム(Makhdoom Amin Fahim)が有力視されている。メナジール・ブット暗殺の翌日コラムで言及し、また人柄は1月5日に書いていました。>ファヒムは裏方でとおしてきたおとなしい人物。あまり欲のなさそうな目立たない眼鏡の長老は、福田さんの感じがしないでもない。選挙では人民党が第一党に躍り出る可能性がある。その時に首相に推されるのはファヒムしかいない。ザルダリもそれは認めている。<

●司法界のロング・マーチ延期
ラホールから首都イスラマバードまで300kmの行進が、いつも完遂できないのだが、パキスタンの抗議パターンになっている。最高裁判事協会SCBAが呼びかけた法曹界のロング・マーチは、パキスタン弁護士協会PBCの反対で延期された。。実質的には中止である。警察との衝突が不可避であることが大きな理由。また、新内閣が速やかに拘束された法律家の釈放を決定し、辞任させられた判事の復職および補償をまってみたいという法律家が多くなったってきた。かわりに行進デモを取りやめ、3月9日から一週間を『黒旗週間』として各家が黒旗を上げるよう推奨、全国各地で法曹界の抗議集会や、裁判官の法廷ストを行うらしい。テロ以外の不穏な情勢はこの程度である。(了)



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