安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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米予備選テキサス・デス・マッチ
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〈 2008年 3月 3日 月曜日 )


●ヒラリーはまだ負けていない
スーパチューズデー以後のオバマ旋風、11連勝がそのまま勢いを保っていれば、いまごろは「勝負みえた」でありましたが、4日の情勢は予断が許さない。前回の米予備選コラムでわたしの予想は「クリントンはテキサスを落とし、オハイオも危ない」というものでしたが、世論調査はテキサスはオバマ47:45ヒラリーで接戦、オハイオは48:43でクリントンがリードという。

これまでオバマvsヒラリーの討論は3度行われ、2回目の終了時にヒラリーが語る帰還兵エピソードの情感描写がスタンディング・オーベーションを受けた。両者の討論会で満場起立喝采はこのときが初めて、ヒラリーが得点を上げたにみえた。討論終えて聴衆に接する様子はあきらかにヒラリーが機嫌良く、オバマは苦い表情である。

ヒラリーがオバマのスピーチはゼロックス・コピーと評してオバマがぶつぶつ抗議し聴衆からブーイングされる場面があったが、2回目は総じて互角の討論、最後の情感描写でヒラリーがやや優勢かなと思った。しかしメディアはオバマが優勢、ヒラリーの挽回ならずという見解。メディアのオバマ寄りが言われてきたがなおる見込みはない。

その後、オバマ側が大量に送るパンフレットで医療改革案を不正に中傷したと、ヒラリーがそのパンフを手に本気で怒った。「オバマ恥を知れ、次回の論争で釈明を求める」。しかしその3回目の討論はヤマなく上品におわってしまった。オバマはこういうとき実に沈着でとりあわず、論点をぼかして一般化してしまう。ヒラリーがいまいましいカール・ローブの選挙術で逃げると非難するのは実際、「挑発しておいて矮小化/小馬鹿にせよ」と教示するローブの戦術に合致する。

●マケイン、オバマにブレーキ
で、このときも多くのメディアはヒラリーはオバマの勢いを止められなかったと評価した。だが実情はオバマの勢いは資金が伸びるようには伸びていない。理由はオバマがイラク開戦に賛成したマケインを意識して批判、マケインとの応酬が影響しているとおもわれる。めったにコメントしないブッシュもオバマのイラク理解に異議を差し挟んだ。無思慮な発言を突かれてボロを出したオバマだが、その反論が『ブッシュとマケインがイラク侵攻する前に、イラクにアルカイダはいなかった』という的外れなことば。ところがこれで大学講堂の聴衆は熱狂するのだな。オバマニアに付ける薬はない。

●言うほどにないヒラリーの経験
TVスポットに出たヒラリ−側のモノクロ映像を使った広告がある。子供が寝静まった夜の3時、ホワイトハウスで非常電話が鳴る。経験豊かでいかなる事態にも即断できる大統領が必要というわけ。すかさずオバマ側が同じような場面のTVスポットで対抗。判断力がものをいうとナレーションがはいる。これはヒラリーがイラク開戦に賛成票を投じたことを茶化している。ま、どっちもどっちだが、全米のマジョリティーが賛成したイッシューがそれほど致命的なのか、オバマ支持者に『そのときあなたはどこにいたか』聞いてみたいとおもう。正面から絶対反対したシラクさんはぶり返して非難するマネはしていません。

思うにヒラリーの政治経験やSolutionの力量が本人が言うほどあるのかが疑問。上院時代は大統領立候補を考慮して民主共和両党に馴染むようなスタンスをとり、世界首脳と知り合いだと言っても、大統領夫人として挨拶したに過ぎません。いい気になるんじゃネーゾと言いたくなる。

オバマもフィーリング重視のスピーチだけでは先行きあぶない予感があるのか、数字をあげて経済政策、環境政策を昨日のオハイオラリーで演説した。ま、この政策はビル・クリントンからおとぎ話と揶揄された口当たりの良いバラマキ数字である。そしてなによりもヒラリーを良い候補者と前置きしながら、延々とヒラリ−批判を述べる。

TVのナイトショーにヒラリーのそっくりさんと本物が掛け合い漫才、気軽なヒラリーを出しています。そんなわけで明日のテキサス・オハイオは両陣営恐々の選挙となりました。(了)



Pnorama Box制作委員会

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