安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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プーチン大兄とメドヴェーデフ新大統領
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〈 2008年 3月 3日 月曜日 )


●プーチン監督のメドヴェーデフ独走選挙
最終結果は現時点でまだですが、メドヴェーデフ70%、ジュガーノフ共産党議長20%、右派ジリノフスキーが9%、もう一人の民主党泡沫候補に1%、そんな予想です。投票率は60%に近い、まあまあというところ。但し90%ある地方もあって、上司の強制とか、同一人が複数回投票する例が毎回絶えない。なお、反プーチンのカシャノフ元首相と、筋金入りの反プーチンであるチェスのカスパロフはともに立候補を排除された。

●愚問愚答の勝利会見
メドヴェーデフが15%開票の時点で、当確にあわせて勝利の記者会見、その模様をライブで見る。質問も答えも稀に見る退屈で単調なやりとりで、レプリックもユーモアもない。「あなたはどんな風に開票をまyっていましたか、緊張してナーバスっでしたか」とアホな質問に、『家族と一緒にTV中継をみていた。とてもナーバスで生涯で最高に緊張した時間でした』。ウキウイキとこれまたアホな答え。優等生はおもしろくない。

あとプーチン路線の継承、協力関係とか、例えば就任まで未だ日があるが、組閣準備はプーチン大統領と相談して……と述べるあたり、やはり何事もプーチン大兄にお伺いだてする子弟関係におもねっている。また、首相の役割分担は憲法そのほか関連する法規に規定された通りおこなうと、優等生はどうしようもない。唯一、英語で質問したBBC記者が、外交方針を決定するのは首相かそれとも大統領か、と質したのに対し「これは質問の中で一番簡単」とイヤな皮肉を前置きに、「大統領が執務室のあるクレムリンで決定する。ホワイトハウスと同じである」。自信をのぞかせたシーンでした。

●ナショナルプライドの次は
さて、ロシア新大統領がやるべきことは、石油・ガスの輸出外貨で得た経済パワーでプーチンが取り戻したナショナルプライドを維持すること。モスクワのビルラッシュとモスクワに集中する金満家の台頭に瞠目するビジネス界のイメージはロシア全体のイメージではない。2005年の一人当たり収入は、日本4万ドルに対しロシア5千ドル、日本の約8分の1、辛うじてイランとブラジルよりマシな生活水準である。富の分配と平均化が課題、そのために必要なインフラ整備と技術開発、産業育成がプーチン時代には手つかずっだった。

民間にタダ同然で譲った資源関連企業を国有化し、富を統括管理し財力と資源戦略で海外の参画企業と契約更改し、海外の借金を返済、エリツィンがもたらした98年経済危機を脱出した。こうしてロシアの発言力を増し軍事的にも冷戦時代と変わらぬ強いロシアを復活した。いま、西側とロシアの政治的環境は冷戦時代とおなじように冷えきっている。それでも劣等感が染み付いたロシア人にはナショナルプライドが命の次に大切なイッシュ−である。

●課題:インフラ整備と産業育成
プーチンは国民のプラドと政治的安定を取り戻した。しかし動きの速い現代の世界情勢でいつまでもつか、都市部には昔ながらの立派な道路があるが、パンク状態となったいま都市改造、立体高架ジャンクションが必要、パイプラインばかりでなく道路網、鉄道網も整備しなければ地方産業も育たない。(早くナホトカへシベリアラインを敷設せよ。)インフラの面では中国にはるか遅れ、外国へ輸出できる製品がない。北朝鮮にすらロシア製品は殆どないのでは?

プーチン+メドヴェーデフのコンビが〔インフラ整備、技術開発、産業育成〕を進めることができるか、中露関係の軋みがいつ顕われるか、コンビの軋みがいつ顕われるか。優等生のメドヴェーデフだって大統領であるからにはプーチンを馘首してを自前の体制をつくりたいだろう。それもすべたは20010年ごろにはだいたい目安がつくとおもわれる。(了)



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