コソボ独立宣言、おもいつくまま。
コソボ独立宣言の議場を米英のチャネルがライブで見せるというので拝見。なんかあまりにも退屈な進行で、正々粛々といった押し詰まった雰囲気もなかったですね。一年前から準備してきた日、いまさらという心境なのか、為政者としては有頂天になれない国の状況ですから納得できないこともないですが、外のお祭りとそぐわない議場でした。スリルはタチ首相の独立演説(同時通訳は両局女性、英BBCが超うまい)のあと議長が採決に賛否を問う場面。「賛成の議員は挙手ねがいます」に、全員が手をあげたようだがTVではよくわからない。議長はそのまま「独立に反対のひと」、それには誰も手を上げない。で、議長のセイデュ大統領ががおもむろに「全会一致で決定、独立を宣言する」と。わたし『ホウ』っと声がでたけど、議場は騒がずやや空気が動いた程度。前途多難を象徴するようでした。議場で新国旗がお目見えした。ブルーの地にコソボ地図とおぼしきまわりに星が数個並べてある。EU国旗に追従した感じ。これでほんとうに決ったのかしらね〜、パっとしませんが。
街のようすはというと、そんなたった今発表の新国旗があるわけでなし、真っ赤な同朋の国アルバニア国旗が最多、プラス星条旗がふんだんにあり、ユニオンジャックも見える。きょうコソボが独立できたのはアメリカさんのおかげです、イギリスさんのおかげです……。
セルビア・コソボ自治区はイスラム教のアルバニア人がマジョリティーであることをうっかり忘れるほどアルバニア人は宗教的でない。米英が大好きな唯一のイスラム系と言って良い。それをよいことにブッシュはコソボ独立を軽々に支援に走った感じがする。
一方プーチン・ロシアを大変警戒してきた西側が、コソボ独立を違法、制裁、報復の脅しを全く取り合わなかった。2月初め、プーチンが例年の年頭教書で大変な剣幕でしたがEU,NATOはとりあわなかった。ロシアとセルビアでーチンへの失望と権威失墜は大きい。コソボ自治区は国連が暫定統治し、治安はNATOだが、独立後はEU に移譲する手はずがととのっている。また、すでにEUの法律アドバイザーたちがコソボにはいって独立にまつわる憲法や国際承認手続きとか諸々の法的問題をサポートしており、セルビアは孤立した少数派のコソボ・セルビア人におとなしくしておれ、帰ってくるなと諭しており、プーチんだって武力行使はありえない。
だけど、ロシアはエネルギー供給主である。すでにコソボに送る電力を削減しているという。この問題を解決できたらよし、もしエネルギー支援に米英が失敗したらカオスバルカン紛争の再燃になりかねない。そこら辺りがセルビアの反米・反英暴動より火種かなと、頭でこねまわしています。国連がロシアの無効採決を要求しているが、実質的には重要でない。
グルジヤが不承認したらしいが、これはよくわかる。グルジャとロシア国境のノーマンズランどがコソボに続いてドミノ式に独立するなら「ただではおかんぞ」と脅されていますから、自己防御です。あと中央アジアの親ロシア数カ国がロシアに従うでしょう。注目はウクライナ、ユーシェンコはプーチンに降参して不承認にまわるか。またお隣りのアルバニアは統一を否定、ロシアを牽制する面もあるが難問を抱えたくないものね。そう言う意味では韓国と北朝鮮に似て、互いに統一を嫌うの似ている。
余談ですが、元ゲリラのリーダーであったタチ首相、Hashim Thachiはタチでもサチと仮名書きしても自由。どっちでもかまわんが、むかしフランス映画に『ぼくの叔父さんン』というジャック・タチが主役・監督した映画を見た。ア、ウイ、とかの間投詞を挟むけれど台詞がない、なくてもわかる喜劇で、タチは同じスペルです。するとあの監督はアルバニア系だったのかな。