安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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スーパー火曜日を前に(7)民主党SC
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〈 2008年 1月 28日 月曜日 )


この稿はバラック・オバマへの当てこすりに満ちております。

● Yes We Can! We Can Change!
26日、サウスカロライナ民主党予備選、例によって当地時間夜遅くまで実況を見る。黒人多数のSCでヒラリーが勝てば予想外である。しかしヒラリーの倍近く55%を得票したオバマの圧倒的勝利はもっと予想外だ。何かが変わる気配、あきらかに民主党内のモメンタムがオバマに動いた気配が感じられる。ヒラリーは負けを予想してSCの“結果を見ずにテネシーで集会、予想を下回ったエドワ−ズはまだ諦めません。暖かく見守りましょう、ぜひ最後までいてください。

個人的な見解を申せば、オバマの勝利スピーチを聞いていて気分が萎えた。アイオワ党員集会の勝利演説よりトーンが高い。オバマとこの会衆はバッカじゃなかろか。こんな下らん私見を書くためにどして見ンきゃイケンのよ!。

●羽ばたけるヴィジョン酔いしれる支持者
オバマのスピーチは80%がワシントン政治を変革し新時代を開こうというヴィジョンである。この主題をいろいろな言いまわしで展開し聴衆を鼓舞するのが絶妙なのです。聴衆は歓喜してWe Can Change, Yes We canと連呼する。サッカーの歓声が3分ごとに上がる会場といえば想像してもらえるだろうか。

オバマはPoliticianよりもStatsemanを自画像に描いて演じる野心家である。スピーチの20%が経済、教育、失業、医療、年金問題でしたが、具体策は話さない。すべてがよくなる理想的な状況がすぐ目の前に掴めるように話す。一例を挙げると
This election is about the past vs. the future. この選挙は過去か未来かを問う。
Yes, we can heal this nation. Yes, we can seize our future.イエス、我々はこの国を救い出し未来を捉えることができる。

●子供騙しのエピソード『老婦と3ドルの郵便小切手』
かような精神的、夢の世界へ導く高揚した演説はわたしにはナンセンス。ビル・クリントンが『おとぎ話』と批判したのは言い得ていると再認識し、K.ローブが空虚と喝破したことに頷く。また次のように、夢物語との批判には「老婦と3ドル」のエピソードすり替えてしまうのですが、そこでまた拍手喝采、よけいハラが立つ。
There are those who will continue to tell us that we can't do this, that we can't have what we're looking for, that we can't have what we want, that we're peddling false hopes. But here is what I know. I know that when people say we can't overcome all the big money and influence in Washington, I think of that elderly woman who sent me a contribution the other day, an envelope that had a money order for $3.01 along with a verse of scripture tucked inside the envelope. So don't tell us change isn't possible. That woman knows change is possible.

オバマのような言葉で構築されたヴィジョンをのべつくまなく展開する政治家はいない。欧州では過去の遺物、チャーチルやドゴールのゲキで大衆が奮起する時代ではないのです。政治に夢をもたなくなった欧州も問題であるが……。

●Inspiringケネディの再来
支持者が判で押したようにオバマはInspiringという。つまり感激してハイになるということです。昨日はオバマ大勝利の後、カロリン・ケネディが「父のよう」と形容して支持声明を出し、テッド・ケネディ上院議員がクリントン家との昵懇を反古にしてオバマ支持を表明した。影響があるのかないのかわからないが、こうやって米大統領選は盛り上がっていく。

スピーチの速記はあちこちにありますがBen Smithの解説付きはここ:
http://www.politico.com/blogs/bensmith/0108/Obamas_South_Carolina_victory_speech.html:勝利が米のAssumption(仮説)----の数々を打ち砕いたとする下り、その仮説「若者は政治に無関心。共和党は旧弊を破れない。福祉は貧しい者になく、貧者は投票しない。黒人は白人候補を支持せず白人は黒人候補を支持しない。黒人とラチノス(ヒパニック)は交流しない。」が、そもそも北朝鮮の対米感みたいに古風で今日の姿ではない。オバマが打ち砕いたわけではなかろう。

ともあれ、オバマ26日のSCスピーチは米大統領を目指す政治家たちのお手本になるだろう。癪だけど。(了)

特に意味はありませんが本日までの代議員獲得数です
民主党 オバマ63、クリントン48、エドワーズ26
共和党 ロムニー67、マケイン38、ハッカビー26



Pnorama Box制作委員会

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