●ブッシユを大統領にした男、カール・ローブの選挙術
10日、ジョージ・ブッシュ影の参謀、2度の大統領選に勝利をもたらしたカール・ローブがオバマを攻撃するコメントをウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に寄稿。例の「あいつののヨメさんスパイやで」とプレスに洩らした嫌疑により、ホワイトハウスを去ってからどうしていたのかとおもったら、やはり選挙がわすれられないみたいです。でも共和党の候補からはもちろんお呼びがかからない。
オバマ陣営に「ヒラリ−攻略方を伝授しましょう」とオッファーしていたそうです。
先月オバマに送った公開レターによると、ヒラリー攻略の秘訣というか、『クリントンが犠牲者を装いはじめたら警笛を鳴らせ』。『非難される言い訳に民主党内が不一致だからと言いだしたらその度に穏やかに矮小化してしまえ』。『最強の候補たる者、この世界で党員の異論に泣き言を並べてはならない』。などの知恵を与えた。
オバマがヒラリーの涙を矮小化し、ニューハンプシャー(NH)の結果に拘泥せず、逆転負けの影響を最小限に止めた。ま、カール・ローブの助言がなくてもオバマの対応はかわらなかったとだろうと察するが、それにしても選挙のベテラン、カール・ローブの読みはすごい。
しかし、ブッシュの黒幕だった男を頼るなんてことできません。オバマはローブのオッファーを断った。で、昨日10日に今度はオバマをWSJ紙上で攻撃した。
●ローブのオバマ批判、ほぼ全文を私訳
Why Hillary Won By Karl Rove 『なぜヒラリーが勝ったか』
NH予備選のあと、シャイクスピア劇『ヘンリー六世』に出てくる反乱指導者ジヤック・ケイドなら何と言っただろう。まず世論調査屋、評論家どもを殺せ!候補者派殺すな』。
選挙動向の評論家は殆どがオバマ有利を予言したてまえ苦しい立ち場であるが、彼らの失敗ではない。予備選でダーティーな部分を正確に予測するなんて不可能だ。それはチキンの内蔵を調べる如くアグリで臭くてとにかく啓蒙的な作業ではない。出口調査とやらが特に信用できない。
H・クリントンは労働者階級と豊かでない地方票を集め、B.オバマはカレッジタウンと新興階級を得票した。言い換えればクリントンはビール飲みを、オバマは白ワイン派を支持者にしている。しかるに民主党内ではビール派が多勢なのだ。
H・クリントンがNHで辛勝した理由は4つある。1)女性層、特に独身女性ををターゲットにしたこと。選挙運動にへばりついたこのチア軍団はアイオワでは役立たなかなかったが、NHでは成果を生んだ。
2)パワフルだった私的な二つの瞬間。最初はABC-TV討論番組で司会者に『どうしてあなたに対する好感度がオバマ氏より低いのでしょう』と問われて自分を咎めるように『そうね、わたしの痛いところなのね。でもがんばるわ』。(このシーンは筆者も虚を突かれた)微笑ましい答えである。オバマが横から『あなたは充分に好かれているよ、ヒラリー』と、あれは言わずもがなの尊大な口出しであった。
ヒラリーはこの発言で番組初めの怒った答弁を洗い流し、オバマのくだらないヤジは学生バスケット時代の残り滓を露呈して二流の討論に終わった。
3)から以降は次回に持ち越しいたします。(続く)
待ちきれない人は勝手に原文をお読みくだされ
http://online.wsj.com/article/SB119992615845679531.html?mod=opinion_main_commentaries
余談:ジョン・ケリーがオバマ陣営にを鳴り物入りで参加しました。ケリーはカール・ローブの敷いたブッシュ路線を踏みつぶして……とブログに書いている。前回の大統領選で彼の選挙戦略に負けたウラミか。