安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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サプライム基金、爽快に頓挫
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〈 2007年 12月 24日 月曜日 )


●出し渋りする年末
サプライム・ローンを証券化してのデリバティブというバイキンを世界にバラまいたのは米金融機関である。日本の住専融資が焦げ付いた時はお金の動きで損失は貸し付け帳簿で提示できた。それでも全容がわかるまでは1年以上かかったくらいだから、現在公表されている世界各国金融機関の評価損が正しいと思う人はいないだろう。特に年越しの資金繰りに中央銀行から融通してもらったお金は、本来銀行間の融通を促し貸し渋りに歯止めをかけるのが目的だったが、本年度の収支を少しでも良くするために大事に抱えて放出しない。

この『信用収縮』は不良デリバティブなるバイキンの駆除がすむまで健康には戻らないと覚悟することですな。それがいつになるか知ってる人がいたらオカしい。混合金融商品なんて中身はわからないんだから。それでもなお人にはいろいろあって、景気が良くなれ今日のばバイキンは明日の黄金虫、いまダンピング値段で買っとけばお得ですよ・・と乗せられる個人投資家がいる。

●不良デリバティブを買えと要請した米
さて駆除の方法でわたしがとても不愉快だったことは、損失を出した米の親銀行3行が、FRBの後押しをうけて「サプライム基金」なる処理資金調達に、不良デリバティブを買ってください、と日欧の民間銀行に要請したことです。夏の終わり、米が打ち出した最初の対策がコレ。

サプライムローンによる損失は、世界各国、それぞれの政府と金融機関が解決すればよいのであって、みずほ、三菱、が米赤字3銀行の不良デリバティブ買い取り要請を断ったのは正しく、企業として誠実である。被害を受けている欧州金融機関は、厚かましい要請に『そりゃこっちがいいたいわ』てなもんでいい返事をしなかった。拠出金が集まらなく先週になって基金創設が事実上頓挫したのは、爽快な結末でありました。

売り逃げで大もうけしたG・サックスはCEOに史上最高のボーナスで報いた。目も当てられない損失を出したシティ、M.リンチ、モーガンS.などの競合同業社を助けようなど考えない。尤も傾いた英ノーザンロック銀行にはチャッカリ援助しているのです。し烈、冷酷というより ウオールSt.はそういうさばさばした世界である。他国の銀行が助ける義務はない。

●投資できなかったサウジ
ア首長国連合 、中国、シンガポールなどの国家ファンドが赤字米3行に投資した。ノルウェーの国家石油ファンドは言うまでもなくお断り。だがサウジはなぜ? 金余りのサウジはシャリア律法の国だから利子取る事が禁じられているため銀行がない。あるのは中央銀行だけ。お金の工面をどうするかというと親戚知人、友達の口利きでその友達から借り、利子のかわりに物でお礼するという。

というわけでアブダビに先を越されたサウジは、あたらしく国家ファンドを設置することにした。なに、利子はダメだが投資の利益はシャリア律法に反しないとの論理。(了)



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