安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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プーチンの選択
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〈 2007年 12月 12日 水曜日 )


● 権力温存、プーチンの名人芸
来年3月2日、ロシア大統領選挙のあと、プーチンは首相に就任する、ということで今日までのモヤモヤがいっぺんに融解しました。プーチンは憎らしいほど上手に立ち回り、名人芸という印象。メドヴェーデフを大統領に据え、自分は首相になる合憲のシナリオは選択肢のなかでも、そうですね。10日ほど前から最有力にあげられていたのですが、やはり決まって見ればオドロキの後継者選択である。

プーチンの決めたこの人事に西側からの反論はない。KGB出身の先輩で盟友のセルゲイ・イワノフが次期大統領に指名されなかったことで「ああ。これで良かった」といったところか。なにしろクレムリンは平静、幹部はすべてプーチンの身内であり、しかも与党大勝の成果をまえに不満があっても言えない。小沢一郎民主党の大勝とスケールが違うのです。

この数日の動きをおさらいすると、8日、ロシア軍は長距離ミサイルRS-12Mの発射実験。米のミサイル防御システムをくぐり抜ける新型を開発中である。またか、と思ったら10日に与党統一ロシアが次期大統領に推薦したメドヴェーデフをプーチンが支持。翌11日にメドヴェーデフがプーチンをは次期首相になるべきと発言。表向きにはとても民主的なプロセスですね、いまだから出来る状況を狡猾に利用するプーチンさん。

●メドヴェーデフ選択の理由
メドヴェーデフ(Dimitri Medevedev)は42才、実に若い。専門は経済でロシアの国営独占企業ガスプロムの会長。プーチンから会長を兼任したまま第一副首相に任命された。プーチンとは同じペテルスブルグの出身で、つきあいは17年、忠実によく仕事をこなし、プーチンに取り立てられてきたソフトな男で通っている。が、今後はプーチンの指導よろしく対外的にはハード路線を継承します。プーチンにとっては御しやすく、メドヴェーデフの考え方、行動様式を熟知していることも重要な理由だ。

メドヴェーデフには子分がいない。プーチンに引き立てられてきたものの、KGB出身でないため横の繋がりが弱くどうしてもプーチンのバックアップが不可欠な立ち場にある。とりあえずしばらくは……そうであろう。わたしの感ではガスプロム会長をプーチンが兼任するのではないか。この国営企業は石油・ガスのパイプ敷設と管理を独占することで、ロシアの石油・ガス活動全体を統轄する。プーチンはガスプロムを手放さないと思う。

プーチンの後継者推薦で敗れたイワノフ氏はそのまま第一副首相に留まる。ズブコフがゆくゆく首相の地位をプーチンに開け渡すだけで、ほかに改造はない。飛ぶ鳥跡を濁さず、音もなく後ろに着水する妙、プーチンの名人芸でした。ところで気になりませんかプーチン親衛隊の若者たち? 私感では束になってメドヴェーデフ新大統領に乗り換えますな。こっちの方がもっと若くてハンサムだもん。(了)



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