安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラン情報の評価に悶えるブッシュ
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〈 2007年 12月 5日 水曜日 )


● ブッシュ元気を出せ
ブッシュの顔が歪んでいます。『イランは2003年秋に核開発を凍結した』との諜報評価をうけて記者会見をしたブッシュは普段ならすぐ消える苦々しい表情がなかなかおさまらない。朝前夜は良く睡眠時間がとれなかったのか朝っぱらから疲れが見えます。

3日にサマリーが発表された国家情報評価 (NIE=National
Intelligence Estimate) は9ページ、マル秘の報告書全文は140ページもあるそうで、CIAを中心に15の米情報機関からあがる情報を分析評価したもの。このNIEは独立機関なので現職大統領でもウラから手を回して内容を改ざんしたり圧力をかける事は出来ない。

●総体に黒っぽい評価だが
このNIEの評価はイランがシロと断定などしていない。それぞれ都合の良い方に部分を抜き出して、ブッシュのように『イランが脅威であることを証明した』。『この報告は警報である。イランは核計画を持っていた。そして計画を中止した。報告は計画が再開される警報である』と解釈できよう。

また反対派は『核計画はなかった。経済制裁の根拠がない』と非難できる。「どうだ、やっと判っただろう」とイランのメディアは小躍りしている。IAEAのエルバラダイも自画自賛、存在感のアッピールに余念がない。イラン経済制裁追加を求める国連安保理はもはや中露を説得できないだろう。またも中露のトンビに油揚さらわれるアメリカの構図。

●技術的には2013年に核兵器
『イランは2003年に国際圧力と財政難から凍結した。イランは思いのほかひ弱な面を示した。しかしイランでは相変わらずウラン濃縮活動が進み、NIE評価報告は2010〜15年、おそらく2013年以降にに核兵器製造が可能になる。既に核計画を再開したか、今後核兵器製造を続行するか不確かである』。

と、こういう灰色疑惑も書かれているが、2003年に凍結の文言が、ブッシュの『第三次世界大戦の危機』発言とつき合わせて巷に広まった。イラン攻撃を辞さないと言ったヒラリーにはマイナスだ。

ひところよくイラン出撃が議論されましたが、わたしは一度もこの件をテーマにしたことはなかった。核施設に対し、たとえヒット&ランの電撃攻撃でも、確証がなくて出撃するほどブッシュは狂っていませんから。

●ボルトンのコメント
イランは核の平和開発を主張してきたてまえ。「核兵器計画はあったが凍結した」と発表できないし、するつもりもない。やましい所がないなら査察を拒否せず、日本のようになんでも見せればいっぺんに疑惑が晴れるのだが、隠すから疑われてもしょうがない。『イランが取り組んでいる核燃料サイクルを総合的に見ると軍事目的としか説明できない。核兵器を追求していることはノーダウト』とコメントしたボルトンさん。
いつも明快、逡巡しないこの人が羨ましい。(了)



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