安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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続・先を急ぐプーチン
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〈 2007年 12月 3日 月曜日 )


● ガハハの大勝
最終結果ではないが開票半ばの時点で予想:
 △統一ロシア 党首グリズロフ(事実上プーチン) 得票63% 310議席
△共産党   党首ジュガノフ(得票11.7% 42議席 
△公正ロシア(社会福祉) 党首ミロノフ(現上院議長)得票8.8% 議席38議席
△自民党(極右) 党首ジリノフスキー(No2 ルゴヴォイ) 8% 35議席
その他の8党は最低必要な得票率7%に達せず失格。

各党の概要は前回コラムにあげた当選予想の政党をみていただくとして、ルコヴォイが国会議員になりました。ロシアの暗黒部リトヴィネンコ事件はこれで永遠に封印される。選挙の不正が具体的に報告されているが、そんなありきたりのことより放射能殺害容疑者のルコヴォイを国会議員にしたロシア、2001年以来250人のジャーナリストが殺されたロシアを忘れないでおこう。

●プーチン人気の世俗的な理由
それにしてもプーチンはロシアの若年層から中流市民、庶民まで人気がありますね。人気の秘密は、ホドロコフスキーに代表される国営企業の民営化で成金になったオリガーキたちを刑務所にいれたことでしょう。有無をいわさず資源を国家管理に置いた是非なんてロシア大衆の関心事ではない。妬ましい成金企業家を悪者とわりきり、そのワルをヤッつける代官さまへの声援という次元である。米英を批判しブッシュにニエットを発するたびに喜ぶような他愛のない自己満足をロシアの威信と錯覚しているのではないか。

憲法改正に足る3分の2以上の議席は十分確保した。スターリン以後のソヴィエト/ロシア史上、権勢の頂点に達した

錯覚であろうが幻覚であろうが、国家の発揚期に推進力となるのはこれら陽炎にも似た一国の浮揚感であり、クールな政策議論ではない。ひょっとしたらロシアはいま浮揚するかもしれない。この雰囲気に反プーチンに軸足を移しつつあるジュガノフが冷や水を浴びせるとおもしろいのだが。

●プーチン延命シナリオ
プーチンはこの大勝を政権にどう生かすか、プーチンの地位はあますところあと4ヶ月しかない。考えられるシナリオは、圧勝した『統一ロシア』の党大会が来週ひらかれ、ここでまず1)党首に就任する。最もありえるのが 2)次期首相就任表明、あるいは党決議による首相候候補指名。3)引退表明ととも、次期大統領候補を推薦する。 3)大統領三選に憲法改正を票決する。次期大統領候補の登録締め切りは12月23日である。にサプライズTV演説があるならクリスマスイブ。そして3月2日、いよいよ大統領選挙の日がやってくる。(了)

後日談(11月9日):選挙の最終結果

統一ロシア 得票率64.3% 315議席 (憲法改正に必要な定員450の2/3以上を占める)
共産党 得票率11.57% 57議席
自民党 得票率8.14% 40議席
公正ロシア 票率7.7% 38議席
といことで野党、ジュガノフ党首の共産党は前回より大きく後退、プーチン与党連合が88.43%、約90%を抑え、一党独裁を達成した。



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