12月2日、日曜日にロシア下院(Duma)議席450の選挙が行われる。ロシアは東洋と西洋に位置する。東の投票はG標準時土曜日20.00にカムチャッカから始り日曜18.00にリトアニにある飛び地、軍港カリニングラードで終了する。
●プーチンの選挙マシーン
プーチンの与党「統一ロシア」の圧勝確実。世論調査を凌ぐ70%を超えるだろう。投票前から決まっている結果に興味はないが、なぜプーチンはこれほどまでに圧勝と野党放逐を企てるのか。特に今年になってから野党、ジャーナリストの批判勢力を根絶し、地方行政までプーチンが牛耳る独裁的権力を手中に収め、もう充分やりたい放題してもなお、プーチンにはここまでという限界がない。
どうもプーチンは権力の悪循環に陥いっているようで、反対意見をモグラたたきしているかのよう。選挙制度を変えた。選挙は比例代表制だが、統一ロシアの投票紙には党員でもないプーチンが、ただ一人プーチンだけが記される。プーチンがそうきめたのです。プーチン支援青年コンベンションや親衛隊の創設、携帯大手のSMSメッセージキャンペーン、公務員動員など不正もなにもあったもんじゃない。
● 選挙制度を変えたプーチン
当選する党の最低投票率は前回の5%から7%に引き上げられた。他の党で7%いけそうなのは第2与党の「共産党」、党員老化で前回より減るがプーチンも一党独裁になれば不都合なので当選させてもらえる。野党ともいえないプーチン支持の「公正ロシア」はジリ貧だが可能性はある。極右のジリノフスキーに2番候補に入党したルゴヴォイが得票を伸ばせそうでひょっとしたらこの「自民党」LDPRが滑り込むかもしれない。元KGBのルゴヴォイはポロニュウム放射能でリトヴィネンコを殺害した犯人。事件の黒幕とされるプーチンが憲法をたてに英の引き渡し要請を拒否した。
個人で立候補する無所属はロシアにはない。最低5万人の党員を擁する党の候補者にかぎられる。前回は1万人だったのに……。
●先をいそぐプーチン
野党批判勢力を攻撃するプーチンの脅しもエスカレートする一方でしたが、木曜日のTV演説で『統一ロシア以外に投票するならロシアは侮辱、依存、分裂に直面するだろう』。ちょうど街頭演説中に逮捕されたカスパロフが釈放される1時間前でした。これなんか究極のオドシですね。
さらに『国民大多数の信任を受ければモラル上の責任がある』という言葉は権力の温存以上の意味がありそうな。あるいは引退後の弾劾を回避したい理由の数々は本人がよく知っている。エリツィンを訴追しない禅譲の際の約束を自分は守ったが、次の者が約束を果たす確証はない。大統領選候補締め切りは12月23日、大統領選は3月始めだ。プーチンさん急がねば。
●読めないプーチンの心
与党が300議席以上獲得するとして、やれば出来る憲法改正=大統領三選に進むのか、弱い大統領を後継者に選んで自分は首相にるか、名誉タイトルに就いて院政を敷くか、KGB的にはいくらでもアイデアはある。けれどもプーチン大統領は、こんな人という定型がなく判りにくい。
どこの地方でも公務員はみなプーチン選挙マシーンにかり出されていますが、日本に近いウラジオストックはいま2012年APEC開催にむけて町は道路、橋、ホテル建設に活気づいている。党員や公務員はことのほか投票よびかけに熱心だが、市民の関心はもっぱら食料品のインフレ高騰にあるという。(了)