安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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人情派独裁者ムシャラフ
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〈 2007年 11月 5日 月曜日 )


●小沢代表の独善的ケジメ
小沢代表が辞意表明。人間つくづく生まれ持った性格はかわらないものですね。だれもケジメをつけろと言っちゃいないのに、独りよがりの誠実はタチが悪い。子供が一緒に遊んでいて気に食わないことがあるとオッポリ出して帰る二つのタイプ、ええしのボンボンとお山の大将気取りがある。安倍ボンボンと小沢大将。ボンボンはまた誘ってやらないと帰ってこないが、お山の大将はすぐ(政界に)復帰します。

●ムシャラフ、強権と思いやりの狭間で
非常事態を布告したムシャラフも性格がかわりませんな。8年前の軍事クーデターからその後、曲がり角のたびに発した強権を発動しました。ただこの人の強権は徹底があまく、プーチン政権のように批判勢力を暗殺も含めた粛正をとらない。人情派独裁者なのである。たとえば先月、帰国即追放されたシャリフ元首相は、ムシャラフのクーデターに至る過程で最高裁から10数年の禁固刑を受けたが、ムシャラフが恩赦して国外追放にしたのである。ブットの帰国に訴追免除の恩赦を与えたのもムシャラフだ。

●泥棒にも三分の道理ともうします
この非常事態宣言は憲法停止が含まれるので事実上の戒厳令と報道されるが、夜でも車は走り、人々は外にでている。パキスタンの民営TV、海外TVの国内放送は禁止されたが特派員のTV実況も夜昼自由、国内新聞は反政府系もすべて翌日4日の朝刊にでかでかとトップに踊っている。イランやロシアや中国のようにジャーナリストが逮捕されていない。この8年の政権でムシャラフは徹底して批判勢力を追いつめることがなかった。できない性格らしい。

非常事態の具体目的は最高裁のチョードリ判事長をすげ替える事。参謀長を兼務して大統領に再選されたムシャラフが合憲か違憲かを判断する最高裁の結論がどうやら違憲となりそうなので先手を打って、判事長を解任した。以前一度解任したが世論の反発で元の鞘におさまったチョードリ判事である。この人物は懲りずに反ムシャラフ的に政府の政策に司法上のイチャモンを繰り返してきた。

●ムシャラフに五分の道理
実際、宣言の数日前にアジズ首相が『このような状況では政府運営ができない』とお手上げでした。ムシャラフは正式に大統領に就任するとともに参謀長を辞任すると公表しているのだから、その言質を条件に合憲とすればよいではないか。司法当局は独立をよいことに専横だとおもう。そもそも立法と司法の独立性をけなげに努めてきたのはムシャラフ大統領(自分で指名した職位ではあるが)です。再選の選挙は57%の得票で当選を果たした。これは親ロシアCS諸国の大統領が得票率80%以上というような圧倒的なインチキと異なる、民主的な数字である。

●軍・警察はムシャラフに忠誠
さて、翌4日には野党議員や弁護士、人権活動家など500人を拘束。許される事ではないが、事態は次第に収束するだろう。軍の中にはイスラム過激派が混ざっているが、リーダーは解任されているうえ、中枢部はムシャラフに忠誠である。そもそもシャリフ政権を倒した無血クーデターは部下に助けられて(カラチ空港着陸)できちゃった政権奪取である。今回の非常事態宣言も軍と治安機関の支持をうけて実行した。過激派がカウンタークーデターを起す可能性はゼロに等しい。

●ムシャラフとブットは合体の運命
だんだんムシャラフ支援になってきたわたしですが、久しぶりに予想:ムシャラフとブットは両人が闘えば祖国はカオスに落ちる故に、合体の約束はまた寄りを戻す。そしてほぼ予定通り来年始めに総選挙が実施され、次のコンビで新政府ができる。ペルヴェス・ムシャラフ大統領、メナジル・ブット首相、キアニ参謀長(ムシャラフが後任に指名したGen. Ashfaz Kiani)のコンビで発足。

この二人による政権が米の希望であり、ライス長官が表向き民主主義に逆行する非常事態宣言を非難するが、ムシャラフから事前通知を受けており、米パ関係はしがらみがありすぎて追認せざるをえない。次のパキスタン紙にムシャラフTV演説の解説と全文があります。この新聞が親政府系であることを差し引いても演説内容は胸をうちます。http://www.pakistantimes.net/2007/11/05/top.htm(了)



Pnorama Box制作委員会

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