安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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大連立のサプライズ効果
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〈 2007年 11月 3日 土曜日 )


●大連立打診、福田首相の不透明な手法
福田・小沢党首会談の中身が「大連立」であったのに戸惑う。細かい事は判りませんが、参議院で負けた安倍首相の頃から、大連立の可能性に言及したメディアがありましたね。福田首相になってその可能性はより現実味を帯びてきたといえ、福田首相はその気配を見せなかった、のではありませんか。与党議員は知らず、連立公明党との事前打ち合わせもなく、『話し合い』を標榜してきた福田さんが2日の党首会談でいきなり大連立を持ちかけるとは、ちょっとオカシイのではありませんか。

対決姿勢の小沢党首は政局でどうにでも動く人、恒久法が日程にあがればインド洋補給活動を再開してもよいなどと、あれほど国連要請ナシをたてに猛反対してきた人の同じ口から出るとは。福田さんのお誘いに乗り気だったと読んで良かろうと思う。もしや小沢首相で……という話ならその場で『やりましょう』と答えてますね。

●大連立のサプライズ効果
山のものとも海のものともわからない大連立協議は、自民公明両党議員と民主党議員のショックアレルギー反応で所詮成立しません。福田さんはダメで元々、民主党内がこの大連立案で揺れて割れてくれれば儲け物、どっちに転んでも与党の弱体化が加速するわけではないということか。

しかし、大連立の可能性は今後の政局しだいで何度も浮上する。大連立の青写真が次第に形をあらわし、時が経てば自公民による政府に好意的な世論が増えるやもしれない。8月の時事通信の世論調査では「望む政権の形は」との問いに自民大連立27.5%でトップ。次が非自民連立政権の22.8%。この1位と2位はゼロサム関係なのでちょっとした傾向でダダーと急変するコワイ数字です。

●ドイツの場合、大連立参入野党その後の衰退
もし自公民による大連立が成立すればどうなるか、この政権形態の先輩ドイツでは2回の大連立経験があり、一回目は与党が野党を併呑して社会民主党政権ができた。2回目はメルケルのキリスト教系保守2党とシュレーダーの社会民主党(SPD)が長期にわたる熾烈な駆け引きのすえ、大連立が誕生しメラケル政権が発足した。当初心配された国会運営は順調に進み、メラケルさんの指導力かどうか、閣僚は議席数に応じて配分されているが、SPDの存在観は薄れている。

ドイツは一院制なので日本の衆参ネジレ状態での大連立と異なるものの、与党が野党を飲み込む流れはかわらないだろう。村山富市の自社連合はどうなったか、数年後に社会党は壊滅した。それでもかまわない。民主党は流されてもいいから与党議員になってみたい、頑に見えても一度は大臣をやってみたい民主党シニアがおりましょう。

大連立はイスラエルの現オルメトもやっている。イラクは最大政党のシーア派マリキが首相で大統領以下閣僚は満遍なくスンニ派とクルド派に配分され、スーパー大連立政府である。抗議して辞任中の大臣が12人もいて実績はあのとおりだが、他に方法がないですから。

余談:イマジン安倍さんの独り言:いとも簡単に給油自衛官を期限切れで引き上げたり、小沢党首に連立打診するくらいなら、心衰で倒れた自分がバカみたい。(了)



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