●家庭電化製品が毀れるとき
2階で家内が大声で『早く、早く来て』と叫んでいる。私の仕事場の真上はキッチン、食事の時はトントンと壁を叩いて合図するが、食事は午後3時前にすんだところだ。我が家の夕食はい以前から4時頃で早かったが、最近一段と早くなる傾向にある。それはさておき、仕事中なのでおいそれと腰を浮かす訳にはまいらぬ。『ウルサイ』とこちらもわめくが、上の叫びがとまらない。
で、キッチンへ行ってみると、床が水浸し。家内が雑巾でバケツに搾り取っている。異変は食器洗い機、排水ホースが詰まったという。板ばりなので手早く吸い取ってなんちゅう事はないのですが、さて、どうするべえ。さいわい金曜日の4時前、家内がメーカーのシーメンスに電話すると修理サービスはオスロだけでベルゲンにはない、日にちがかかるという。じゃ、話にならん。で、台所製品の修理やさんを調べて電話するが、話し中だったり通じなかったり、
●ムダな試行錯誤
頼みの親切でメカに強い甥は、外出中らしい。万事休す。そこでわたし『マ。排水ホースの詰まりぐらい直せるとおもうよ』とやってみることにした。洗浄機には吸水ホースと排水ホースが「流し」の下部から繋がり、電気の差し込みもそこにある。ホースの端から専用のワイアを押し込むと洗浄機の内部まで挿入したたところでコツンと突き当たる。すべてを外し、洗浄機を引き出して裏側の金属カバーを外してホースの取り付け部を調べようと試行錯誤でやってみたが、基底部から外さないととれない順序になっている。横にしてバラバラにするしかない。
●排水ポンプがあったとさ
厄介な作業になるので別の方法、詰まりを溶かそうと内側底の凹部に溶剤を入れて様子を見たが効果無し。ホースの先から息を吹き込んでみたらまったく空気がはいらない。そこでパっとわかったのです。ポンプだ! ポンプがあるのだ。(それしきのことさえ知らないとは)
あれは洗濯機とおなじようにポンプで汲み出しているのである。流しの配水管に取り付けられた洗浄機のホースは高い位置にある。試しにホースを床におくと残っていた溶剤を加えた水が流れ出た。なんだバカみたい。この溶液は皮膚をも腐食するのが雑巾で吸い取った後あわてて手をあらう。台所には使い捨てのナイロン手袋がたくさんあるのに慌てものめ。ポンプが毀れたとあっては修理不可能、取り替え不可能。そういう時代である。
●主婦は保守的
とにかく22年間使い続けた旧型では省エネ無視でしかも時間がかかる。買い替えのチャンスであるから翌日さっそく電気スーパーへ行ってみるとお値段が安いのから3倍高いものまでいろいろありましたが、家内はまよわず再たびシーメンス製を、結局22年酷使できたキカイに感謝しているのですな。(了)