安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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紛争解決のブレーキ「中国」
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〈 2007年 10月 8日 月曜日 )


●アメリカ外交が最初に詣でる国、中国
台風15号(Krosa)は台湾で猛威を振るった後、7日午後には上海二上陸。福建省と浙江省の住民が緊急避難したのですがその数140万人。そんなに大勢が学校や公民館に類するものや競技場に入るのだろうか? 140万人も1日でどこへ避難するのだろう? 避難の形がどうであれ、お見事でありコワくもある。

で、今日は中国が関わる問題をあれこれ書き綴ってみようと思う。このところ何か国際問題が起きるとその解決には必ずや、中国がブレーキになっている。北朝鮮との交渉役である米のクリストファー・ヒルが『中国はアメリカ外交の最初の立寄り先になった』とどこかで発言したように、この人は中国ばかりに気兼ねして日韓ロは外交ステップを踏み外さないよう表面を繕っているに過ぎない。が、この本音は言い得て妙である。実際、中国が動かなければ何事も解決しない国際情勢になっている。

●ミャンマーの場合
ミャンマー軍政の後ろ盾である中国が軍政への圧力を差し控えたのであの武力弾圧に至った。昨日の日曜はヤンゴンから大部分の治安警察と国軍兵士の姿が消え、もはや反政府行動が消滅したことを示している。制裁に関しては中国だけでなく、日本も後ろ向きで、隣のタイはミャンマーからのガスに依存しているので難民を黙って受け入れている。米がミャンマーの口座を凍結したが、ミャンマーの将軍たちの主な貯金先はシンガポールである。シンガポールはミャンマー軍政の武力行使を非難したが金融制裁はしていない。ではあるが、軍政に武力鎮圧を思い留まるよう説得できるのはミャンマーの石油・ガス及び鉱物資源、港湾・道路などのインフラから軍政への武器支援と財政援助を施している中国しかないというのに、胡錦濤はうごかなかった。

●スーダン、ダルフールの場合
2003年の和平協定以来、ダルフール紛争の解決が一向に捗らない。ブレーキをかけているのは中国。スーダンの石油輸出の70%は中国向けであり、石油開発への投資とスーダンの虐殺政府に莫大な支援を行っている。「虐殺」の言葉を使ったのはアメリカだけということだが、あれがジェノサイド(虐殺)でなくて何をジェノサイドというか!和平以来すでに20万人が殺され、独立以来なら200万人が殺されているのである。

コリン・パウエル、コフィー・アナン、そして数日前にはカーターが「人道的に悲劇的状況」であるが虐殺とは言えないと判定したが、そういう躊躇が事態を悪化させた。この3人は親中国寄りのスタンスで共通している民主化への妨害者である。カーターは南アのD.ツツやマンデラの奥さんとスーダン視察に行って恐怖の大王バシル大統領から選挙監視に来てくれと言われるほどフヌケさんになった。

●武装団に寝込みを襲われた治安軍
先月末にダルフールの南の端にあるハスタニカに駐留するアフリカ連合の平和維持部隊(アフリカならではの最低の寄せ集め兵士)が武装集団に襲撃され、キャンプは全焼、10人死亡、500人が逃亡したか行く経不明になった。いまやイスラム政府軍とその民兵ジャンジャウイードに対するアフリカ黒人の反政府軍という図式に、どっちでもない武装ギャング団が加わって和平協定など不可能な状況になった。そんな状況になったのも中国がロシアやイランなどと共にダルフール停戦と国連治安維持軍の派遣に棄権してきたからではないのか。おかげで賛成多数決で決まったスーダンへの国連軍2万6000人の派遣はいつになるやらまだ実現していない。

小沢さんが政権を取ったら、スーダンへの国連軍に日本も参加すると明言しました。そんな危険な派遣より、中国に影響力の行使を要求することです。(了)

なお、ダルフール紛争に関しては次のサイトが最新情報を転載網羅しています。
http://act.darfurgenocide.org/dg/rssDarfur.cfm



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