●ダイアナ死因究明のスリラー
ダイアナ妃がなくなって10年、熱は徐々に冷めているが未だにイギリス高等法院で公開審問が続いている。というよりやっとこの度の2日目で佳境にさしかかってきた。事故直前の映像が動画を含めて31枚が陪審員に公開、この中にはパパラッチが撮った車中の写真、事故直後のトンネル内など衝撃的なのもある。それがメディアを通じて世界に出回わり、映像の読み方が紙面をにぎわしている。で、わたしもひとこと。
事故の会った国、フランスでの審議が遅い、早く遺体をイギリスに戻せと息巻いていたイギリスでの審理が一向進まないのに、それには文句を言わずに長〜く余韻を楽しむ英国気質。ダイアナの死因にはミステリーがふさわしいのかも。
リッツホテルの裏出口やエレベーター内のモニターに写っているダイアナとドディ・アルファイードの二人はけっこう仲睦まじい。イチャつくほどではないがいかにも恋人同士で、またドディにはパパラッチからダイアナを護る男の意思がうかがえる。
●ダイアナは妊娠していなかった
ホテルを出てベンツでドディの高級アパートへ、その夜か翌日に婚約指輪をはめる婚約発表を行う手はずだったと、ドディの家族は主張している。なるほど、そう言われてみるとそのように見えるしぐさと思える。しかしダイアナ妊娠の件は科学的に証明されない、との検視判事の証言でこの件は妊娠事実なしと結論がでた。
●アンリ・ポールの怪しい所持金
主任ボディーガードで事故車ベンツを運転したアンリ・ポールはかなり飲んでいたと仏英の捜査であきらかだが、映像に出てくるポールは普通にロビーを歩き回り、足取りもしっかりと階段を上る。バーへ行くところ、頭を抱えて座っている姿も写っているが酔っぱらった感じはない。酒に強い人ならモニターのビデオではっきりわかりはしない。だからってシラフだったとはいえないだろう。
ポールの行動にはチグハグな面があって、パパラッチを避ける役目のポールが、裏口をでるときパパラッチに手招きしているではないか。また、審問事項にあるとおり、事故直前までの30日の7時から10時までの足取りと、ポールがポケットに持っていた現金および多額の銀行預金がどんな経緯で入金されたか、お金が絡むとなぜか事故だけではなさそうだと思えてくるのですが、じゃ、なぜ本人が真っ先に死ぬような激突をやったのか、やはりチグハグだ。
●被害妄想の父親モハメド・アルファイード
高等法院での審問がややこしくなったのはドディの父親、ハロッズ百貨店のオウナーで、その昔、疑惑貿易で身代を築いたモハメド・アルファイドが陰謀説で捜査に挑戦したことが大きい。曰く、女王の夫君エディンバラ公が、イスラムのドディの子を孕み彼と再婚しようとしているダイアナをM15(英情報局保安部)に命令して殺害したという。いかにもマユツバものだ。また運転していたポールはシラフで、酔っぱらっていたとする血液検査は警察が差し替えたと、妄想たくましい。
とにかく審理事項が多く、それぞれ真相究明に欠かせないといえ、ここまで詳細に検証されるのは民間人の交通事故ではありえない。ロクな捜査もしてもらえない庶民には羨ましくもあり迷惑でもある。付録に20の質問(英文)を最後につけておきます。
: Whether the actions of the Paparazzi caused or contributed to the cause of the collision
:: Whether the road/tunnel layout and construction were inherently dangerous and if so whether this contributed to the collision
:: Whether any bright/flashing lights contributed to or caused the collision and, if so, their source
:: Whose decision it was that the Princess of Wales and Dodi Al Fayed should leave from the rear entrance to the Ritz and that Henri Paul should drive the vehicle
:: Henri Paul's movements between 7pm and 10pm on 30 August 1997
:: The explanation for the money in Henri Paul's possession on 30 August 1997 and in his bank account
:: Whether Jean-Paul Andanson (photographer found dead in 2000) was in Paris on the night of the collision
:: Whether the Princess of Wales' life would have been saved if she had reached hospital sooner or if her medical treatment had been different
:: Whether the Princess of Wales was pregnant
:: Whether the Princess of Wales and Dodi Al Fayed were about to announce their engagement
:: Whether and, if so in what circumstances, the Princess of Wales feared for her life
:: The circumstances relating to the purchase of the ring
:: The circumstances in which the Princess of Wales' body was embalmed
:: Whether the evidence of Richard Tomlinson (former M16 agent) throws any light on the collision
:: Whether the British or any other security services had any involvement in the collision
:: Whether there was anything sinister about (i) the Cherruault burglary or (ii) the disturbance at the Big Pictures agency
:: Whether correspondence belonging to the Princess of Wales (including some from Prince Philip) has disappeared, and if so the circumstances
(了)