安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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サルコジ、米・独・EUを怒らせる
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〈 2007年 8月 4日 土曜日 )


●くノ一、セシリエを放ったサルコジ
大統領になってからサルコジは原っぱで鎖を解かれたワンちゃんのように走り出した。早く走りすぎだ。走る方向もサプライズが多くドクトリンがあるのやないのやら、プラグマチストのご本人は信念とかドクトリンにとらわれない方が良いとお考えのようだ。

レディー・ファーストなんて真っ平御免、古めかしい宮殿に住むなんて嫌よと宣い憚らなかったセシリエ夫人ですが、わたしが大統領選挙のとき予想したように、ちゃっかりエリゼ宮に事務所を持って秘書スタッフを抱えるファーストレディーにおさまりました。初の仕事はリビア行き。8年間拘置され、最高裁の死刑判決から、その上の最高司法評議会で終身刑へまけてもらったブルガリ人看護婦さんたち6人をを釈放するよう、怪人カダフィと直談判におよびました。

●カダフィを絡めたべらんめえ談判
サルコジの意を挺したベランメエの妻セシリエさんは、あのカダフィにこう言ったそうです。『これで取引しましょ。そしたらうちの主人は明日にでも来て契約しますよ。あなたが国際仲間うちに復帰する道はこれっきゃないのよ』。(同行したEUスタッフ談)サルコジも単刀直入にもの言う人だが、夫人は亭主にに輪をかけたような直言居士。

天下のカダフィを屁とも思わないセシリエさん、そういう女性ってたまにありますね。理性で論議せず生理的な地声で発する人。そういうセシリエさんを「失礼なおなごメ」と、カダフィは思わなかった。取引成立して看護士たちが釈放された日、セシリエさんは迎えの代表としてブルウガリア外相とトリポリを再訪問。このときカダフィとセシリエは妙に馴れ馴れしい素振りでありました。

●メラケルを出し抜いたサルコジ
さて補償金は一人100万ドルを4000人以上に支払う。この史上最大といわれる
補償金は大部分をEUが、ブルガリアが10分の1強を拠出。今年、EUに加盟ほやほやのブルガリアは非常にラッキーでした。EUが拠出している一番の出資者はドイツ、今期EU議長国はドイツである。サルコジはメラケルさんを出し抜いて看護士釈放の成果を横取りした。しかもフランスの原発技術はドイツと共同開発したノウハウである。それをドイツに無断でカダフィの国で建設するのだからドイツでのサルコジ評判がわるくなった。

●サルコジ『中東にも原発を』!
ブッシュ米の見方はもっと厳しい。やっとリビアが核開発放棄に応じ、その後の様子を1年以上も見て経済制裁を解いたところ、たちまち武器輸出だの原発建設支援を与えれば元の木阿弥ではないか。まだある。サルコジさんの意見では、北半球だけが原発を保有し中東とアフリカには禁止するのは不公平であるという。わたしもそう思うが、サルコジはイランを視野に話すから、米は民主党まで反撥する。

ところでイギリスですが、リビアの石油開発・生産はBPが最大オペレーターである。ブレアは辞任する直前にカダフィを訪問し両国のビジネス関係を確実にしているので英仏の関係はよい。先日の国連ダルフール決議は英仏のイニシアチブであり、ブラウンとサルコジが意気投合したダルフール政策である。ここでもメラケルはツンボ桟敷におかれた。(了)



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