● ウォールストリート・ジャーナルと日経新聞
頭からくどいようですが、NY株式市場でおなじみのダウ平均株価はダウ・ジョーンズ社(DJ)が調査・算出して速報する。DJのメイン事業がウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)である。日経グループがニッケイ平均を報じ、日本経済新聞が中核事業であるのと似ている。どちらも信用ある高級紙と世評が高い。
この名声を誇るWSJがとうとうマードックの手に落ちた。買収価格は50億ドル(約6000億円)。このオッファーでマードックは静観、鳴くまでまとうホトトギスを決め込んだのでしたが……敵が崩れるのを読んでいた。と、これはみなさん事後にわかったのです。
●WSJ、100年の家族支配に終止符
DJオウナーである30数人のバンクロフト・ファミリーは30〜34%のDJ株を所有し、64%の株主議決権をもつ。買収に抵抗していたのバンクロフト家は3ヶ月近い家族協議の末、半数が応じる意向を示して家族支配100年の歴史が終わった。
50億ドル提示が5月1日に一般の知る所となってから、DJ株は昨日火曜日に11.9%までハネあがった。この世はカネだねまったく。ニッポン系列持ち株制度は見直す価値があるとおもう。
●メディアの大王・マードックの野望
さて、マードックは(Rupert Murdoch)の果てしなき欲望はどこから来るのか、その源泉は何か。メンドクサくて言うんじゃないが、やっぱり楽しいとおもうよ。マードックの率いるニューズ・コーポレーション(NC)は世界中で新聞100紙以上を発行し、衛星放送、フォックスTVやネットサイトのMy Spaceなど巨大な情報グループである。フォックス紙のように右よりからスキャンダル紙まで、主に娯楽メディアをかき集めた巨大コングロマリット(複合企業体)である。そこへこの高級紙WSJを買収したことで品質が落ちないか、なんとも言えないが、せっかく質の良い儲からない新聞を多額で買い物したからには少々の赤字を出しても現在の質を落としたくないだろう。
●CNBC vs Fox Busuiness
NCマードックは10月にフォックス・ビジネスニュースを開始する。既に確立された国際ビジネスチャネルのCNBCおよびCNBC Europeがあり、この世界らしくキャスターは全員猛烈な早口、しかもダウジョーンズの金融アナリストが多く出演する。NCはWSJの経済記者を多用してひと味違う番組作りを構想しているとおもわれる。正直、ほとんど理解できないのですが、競合がたのしみ。(了)