● Credit Crunch(金融信用不安)
米欧亜の株式市場が一斉に急落。この前の世界同時株安はいつだったか、思い出せないのはきっと数日で落ち着いたからでしょう。でも今回はしっかり調整するまで日にちをかけて、サプライムローン(自己資金ゼロでも貸し出した住宅サラ金ローン)の焦げ付きから生じた金融機関の整理統合をキチンとめざしてもらいたい。
そうするとボトムはひと月ふた月では足りない。米の金融市場は今年いっぱい、イラクの米兵が復員する頃にあわせて上昇する。この意見は根拠を示せないわたしの感覚的読みに過ぎません。金融機関にいるアナリストは長期的に悲観的な読みはしないものです。だからCredit Crunchを引き起こすのだ。
その他の要因、長期金利の上昇懸念=資金調達困難や77ドル/bまで高騰した石油価格=インフレ懸念は、景気を鈍らせるが、グローバル株クラッシュをきたすような問題ではない。貿易赤字と財政赤字はたいへんな問題ではあってもGDPは日本よりはるかに高い3%台を維持しているし、雇用拡大/失業者減少しているいまの状況では耐えられる。
● ド・ビルパン、立件へ
シラク前大統領は国外に複数の口座をもっていて、それら預金の出所が不明。しかし驚くほどの大金じゃなし、大統領には在職時の行為について免責権をもつので隠し口座については良いとして、ド・ビルパンがサルコジ追い落としに密告した件にツルンでいたとされる。シラクさんはこの件の参考人事情聴取にも免責権をたてに拒否した。外交官ド・ビルパンを抜擢して首相の座に据えたのに、シラクさんてツメタイ人ですね。
予審判事が事情聴取をしていると報道される、この予審というのは日本にはない裁判制度なのでわかりにくいとおもう。刑事犯の公式捜査は警察・検事の捜査から法廷にうつり、参考人は証人席に出廷して判事の質問に答える。今回の予審は昨年12月に続き2度目、今回はおそらく起訴されるだろう。
サルコジが大統領に当選してから敵討ちにド・ビルパン捜索を命令しているのではないので、この件は2004年、サルコジが内務相だったとき、大統領選出馬ができないようド・ビルパン首相が、スキャンダル・キャンペーンをやったそのひとつ。サルコジや実業家の名をあげ、武器売買の利益をイタリアの口座に隠し持っているとして警察に密告したところ、そんな口座はなかったことが判明、サルコジたちが名誉毀損で密告者を訴えていた。その時の捜査の延長である。
マキャベリズムの本場だけに、すごい政治謀略だ。日本の政治家が事務所経費の水増しとか、献金を計上してないなんてのはごく軽犯罪に見えてくる。(了)