安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
タリバンに拉致された韓国奉仕団
------------------------------------------
〈 2007年 7月 22日 日曜日 )


●はやまったことを、だいそれたことを
韓国人善意のボランティア20人と現地で案内に立った23人がタリバンに拉致された。韓国を震撼させた大事件、ご同情申し上げます。おもうに釈放される可能性は充分あります。

奉仕活動にアフガニスタンへ出かける……いまのアフガニスタンは1年前から状況が急激にわるくなっているのを考慮しなかったのだろうか。現地入りしたのは京畿道城南市にある福音教会の信徒20人、うち女性が13人。団長はこの教会の牧師である。よきクリスチャンの奉仕活動が世界中で受け入れられると信じてうたがわない若い女性信徒よ、はやまった事をしてくれました。

現地で迎えて案内したNGOの関係者3人、どうやら女性のようであるが、全員をバスでカブールからカンダハルへ長いバス旅行で移動するとは、だいそれたことを。カンダハルはカルザイさんの出身地で、支援にくる外国人が安心して動ける町であたっが、最近はタリバンのテロ攻撃を受けるようになった。首都カブールとこのカンダハル以外は全土にわたってミリタントやタリバンが出現する。案内の人たちは現地語を上手に話し、比較的自由に活動していたので安易に考えたかもしれない。

●勢力増す復活タリバンの資金源
タリバンの本家、アフガニスタンのタリバンがこの1年で勢力を伸ばし、資金源は欧州大麻の80%にのぼる大麻生産による密輸のアガリである。ケシの栽培量とタリバン組織の拡大は正比例する。カルザイ政権が時おりケシの花を切り倒すが、ケシ畑はそのまま残っている。翌年は何事もなかったように実を結ぶのです。

カルザイ政権は、有力部族長たちとの微妙なバランスによって成立し維持できる体制である。カルザイ内閣はズバリ部族長派閥内閣のこと、あまりしつこく麻薬栽培と密輸ルートを取り締まると、いまでさえカブール市長ぐらいの権力基盤しかないカルザイ大統領の身があぶない。

そうこうしている内に栽培・密輸で財政に余裕ができた部族長たちは私兵増強、つまり新興タリバンに励み、カーボンブや路肩ボンブ、拉致が頻発するようになった。純正タリバンというか、アフガニスタンではイラクでおこる身代金目当ての拉致は少ない。但し、彼らは拉致実行にあたり、誰で何をする人間か下調べなどしない。人質に利用できる外国人であれば十分だ。

●釈放への長い道
韓国奉仕団を拉致したタリバンは、最初200人の韓国兵を即時撤退を要求していたが、今年中の撤退が既成事実だったとわかり、また駐留韓国兵は全員が非戦闘員の工兵隊であることが指摘されてわかったことから。タリバン指導部は要求を同人数の捕虜釈放を交換条件に変更した。これにカルザイが応じても最大派兵派兵のNATOが拒否する。と、韓国はお金で買い戻すしか方法がみあたらない。

前記したように、カルザイ内閣は有力部族長たちで構成される派閥内閣であるところから、拉致グループとのパイプは複数ある。また交渉中に処刑することはない。処刑するのは交渉が行き詰まり、中断が長引いてロックし、人質の価値がなくなったとき。要求への回答期限が過ぎても交渉が持続しているかぎり殺されはしない。(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る