安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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『石打ち』処刑を実行したイラン
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〈 2007年 7月 11日 水曜日 )


大事件ではないけれど世の中ショッキングなニュースがあるものですね。一昨日は不倫の男に『石打ち』の刑で殺したイランの報道があった。。5月にイランの地方法廷がイスラムの掟・シャリアに従って不倫の男女に『石打ち』による処刑の判決があってから、国際的な非難、抗議が大きくなり、刑の施行は延期された。

●国際抗議にもかかわらず
国際抗議にイランの外務省は、『石打ち』は行わないと約束していた。もうこの件は実施されないとすっかり安心していた西側人権団体やアムネスティ・インタナショナルは頭が真っ白になりました。これまでは西側の抗議があると『石打ち』を撤回し、減刑や恩赦になったのですが、どうしてなのか。

理由として、核開発の強硬路線を突っ走るイランはいま、西側の言いなりにはならないことを誇示するためという見方と、たんに地方の法廷に政府の方針が伝わっていなかったためという見方がある。後者は大いにありうる。政府は文書にして地方の市町村に指示することは少ないそうで、地方の行政担当者はハメネイやアフマヂネジャドが公的に話した意図を汲み、想像するしかない。

当地ノルウェーの外相は赤十字総裁から現職に移った人権派、石打ち撤廃に熱心な外相はすぐイラン大使を呼び、経緯の説明を求めました。

さて、イランで行われている死刑は絞首刑が主で、昨年は177人と前年からほぼ倍増した。この春から強姦、インセスト、不倫の罪で逮捕された者は20人、刑は数週間のうちに刑が施行される。

●不倫に多く適用される『石打ち』
この『石打ち』の刑は、主に不倫や姦淫などに適用される。身体を縛り、顔の部分だけ開いた白い布袋を被せ、この姿で男の場合は腰まで女性は胸まで地中に埋める。周りから市民が参加して死ぬまでこぶし大から砲丸投げの球くらいの石を投げるのである。

シャリアには見せしめの公開刑としてムチ打ちがある。これは市民が見物する刑であるが、石打ちには市民の参加が奨励され、実際に石を投げる市民がいることにわたしなどは恐怖心がわく。ムスリムにはとうてい理解できない部分がある。

この男女は両方とも所帯持ちだった。社会的には確かに聞こえが悪いが、親が決めた相手と強制的に結婚させられ、しかも離婚が許されないムスリム女性に好きな男ができ、その男と相思相愛になればどうなるか。これはもう死を覚悟の純愛行為である。純愛を死にまで追いつめるこういったムスリムの制度は一部アフリカの他、サウジ、カタール、UAE、イエメンなどけっこう残っている。

いまのところ女性の方は処刑されておらず収監されているが、処刑されない保証はない。(了)



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