安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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石油大国イランのガソリン規制
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〈 2007年 6月 27日 水曜日 )


●ガソリン供給規制
テヘランではガソリンスタジオがひとつ放火された。26日、イラン政府は自家用車に対し、ガソリンの配給制を公示した。1運転免許に一ヶ月100リットルに限定という公示。これに慌てた市民が公示発効の真夜中までに車を満タンにしておこうとスタンドに車の行列ができた。イランのスタンドはセルフサービスではないのか、従業員と喧噪な様子である。。夜になって怒った市民がスタンドに放火、火炎に巻き込まれて3人が死亡した。

イランはサウジに告ぐOPEC第2の石油生産国であり、ロシアに次ぐ世界第2のガス埋蔵量を持つ。その石油大国イランでガソリンがガソリンが不足している。理由はカンタン、国内の精製施設が貧弱で国内需要を賄えないためです。

というわけで、ガソリンの40%を輸入に頼る石油大国イランの経済産業政策がいかにデタラメかを露呈しました。アフマディネジャフ大統領の挑戦的な反欧米演説の背後で国内経済がしりすぼみしているのです。

●国内経済の停滞
アメリカ下院外交委員会は慰安婦決議を採択し、日本ではそちらに目がつりあがっているようですが、そのまえに同日、イランのウラン濃縮継続に対する経済制裁の強化も可決しています。これが国連でも賛成多数で可決されることはあり得ないが、EUと米ほか約50カ国が履行したこれまでの金融、航空・船舶制裁が功を奏しているのになおも追い打ちを強める決議である。

アフマディネジャフは『制裁するなら対抗措置をとる』と石油輸禁で脅していたのにあの剣幕はどこへいったのか、市民にガソリン配給で窮乏生活を強いるとは……。はて、中国から精製油を分けてもらいますか。中国にCO2を吐き出す精油所を建ててもらうのは勘弁願いたいですね。

●補助金による安いガソリン
ガソリン供給規制の措置は非常に危険を孕んでいる。インドネシアもそうだが、中東、アジア、アフリカ、ロシアの産油国はどこでも補助金を出してガソリン価格を低く設定し、イランは特に多い政府補助金で実費の5分の1で販売している。原油輸出での利益を国民に還元するけっこうな措置なのですが、安く豊富なガソリンに慣れた市民が黙っているか、これが問題のひとつ。

二つ目の危険は、イランの自家用車は個人用も商売用も区別はない。燃料不足は当然に燃料高騰を招き、物価に影響する。インフレです。生活を圧迫し、貧困層が増える。(了)

余談:石油輸出国ノルウェーは補助金どころか5倍のガソリン税を懸けている。北海石油の開発が始まる前から、エネルギー産業、市場経済に合わせた価格設定が生産国になっても踏襲され、現在も税率は国際石油市場価格に連動する。ガソリン1リットル、昨日は11.7NKR,約228円でした。



Pnorama Box制作委員会

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