安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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欧州指導者のNo.1にのし上がったアンゲラ・メラケル
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〈 2007年 6月 25日 月曜日 )


●救世主メラケル
EUサミットは前回のスジ書きに添って閉幕。ドタン場でメラケルさんがポーランド代表のレク・カチンスキー大統領を説得、本国ワルシャワから拒否権を言い張っていた双子の弟カチンスキー首相をブレア・サルコジはじめ各国首脳が電話攻めで説得した甲斐合って弟も折れました。

それで27カ国そろって新条約改定の妥協案を半年かけて協議、今年中に合意を目指し、2009年の中頃に発効する。欧州指導者としてのメラケルさんの地位はこれでダメ押し、自他ともに許す欧州No.1にのし上がりました。特にプーチンはメラケルさんにめろめろですから米露の架け橋になれる。しかもイスラエルを説得できる不思議な人間的魅力がる。

新条約はシラクさんの打ち上げた欧州憲法はフランスとドイツがイギリスを含めて全欧州を併呑するような国家形態が透けて見える。小国はソンなのである。新加盟国の元東欧圏やロシアから独立したバルト3国などは、いまでこそ経済力のない新参者ですから黙っていますが、ときがたてば確実に不満が噴出します。

メルケル妥協案はそういうことのないよう、また各国が持ち帰って国民投票にかける必要がない条約にした。この条約にはシラクさんが退職後のために作ったとまで申しませんが、「欧州大統領」の呼称はない。歓喜の「欧州国歌」もなし、「欧州国旗」も制定しない。欧州連合旗としてこれまで通りの旧加盟国12の星をあしらった旗を継続して使用する。ま、27コの星を円形に並べると細丸いワッカにしか見えないですからね。

●ただの人になったシラクとシュレーダー
にしても、かつてのシラクさんとシュレーダーコンビの凋落は忍びないほど。シュレーダーはロシアエネルギー戦略のクッション役にプーチンから請われて露系ガス輸出社の重役になったはいいが、プーチンはもうシュレーダーのことなど頭にない。国際ポジションに転出したくても英語が出来ないばっかりにお呼びがない。メラケルを非難し引き際の悪さが後をひいているのでしょう、前首相は現政権から無視されている。

シラクさんもまたサルコジを重用せず、ド・ヴィルパン首相がサルコジ追い落としを謀った疑惑に加担した罪が問われている。大統領としての刑事訴追免責が失効し、フツウの人になったとたん、待ってましたとばかり司直の捜査が本格化した。なんてことでしょう。フランス大統領がどんぶり勘定でお金をまいたり、外国の口座に蓄財したり、お妾さんや馴染みの女性を各地に持つ事は国民がよく知り大目にみていたたことじゃありませんか。女性にもお金にも関心がなかったド・ゴール将軍は別ですが、歴代フランスの大統領みなそちらの方は大胆です。しかし政界の女性問題がスキャンダルにならないフランスの伝統は健全でありました。

ブレア首相が今年、党への不正献金問題で参考人聴取を受けたが、イギリスの首相はフランス大統領に比べて司法上の特権は少なく驚くことはない。しかるにシラクさんが法廷で証人喚問に呼び出されるとはフランス共和国史上、異例である。まさか逮捕される事はないが、シラクさんに冷や飯を食わせられたサルコジさんは心情的にも助けようとしていません。

先進民主国首長への教訓:政敵には敬意をはらうこと。決して恨まれるまで非難したり、失墜を謀ってはならない。でもって、政敵の謀ごとに油断するべからず。(了)



Pnorama Box制作委員会

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