安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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キナくさい中東
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〈 2007年 6月 14日 木曜日 〉


●レバノンのビッグボンブ
レバノンはパレスチナ難民居住地のイスラム武装派精力をやっと押さえ込んだと思っていたら、ベイルートでメガ級車爆弾によって反シリア派議員ら10人が死亡した。シリア軍撤退後も親シリア派の勢力は衰えていない。かつては中東で最も自由で中東をリードする開かれたレバノンだったが、ハリリ暗殺の頃からレバノンの政治と治安は悪くなるばかりです。シニオラ首相が持ちこたえているのがせめてもの慰めか。

●パレスチナ政府崩壊の危機
ハマスとファタの全面武力闘争は、ガザ地区でハマスの勝ちがハッキリした。ハニヤ首相が勝ってアッバス大統領が負け。しかしファタは、ガザ地区での負けを西岸で覆すという。で、それは確かに可能だ。大胆に先読みすると、パレスチナはナブルスを本拠に西岸を治めるファタ-アッバス大統領と、ガザ地区を治めるハニヤ首相に二分されるのではないか。どうせ飛び地にわかれたガザと西岸である。互いに自治するほうがいまよりは落ち着くだろう。3ヶ月前発足した新政府は、重要ポストを民間から起用して西側から好意的な支援獲得を得た。金集めだけは成功したが(当地はイの一番に財政支援再開、日本もついこないだ訪日したパレスチナ外相に支援金を約束)、要になる治安警察の一本化は不可能にみえる。アラファトの最盛期ですら、独自に動くいくつものハマス過激派を取り締まることができなかったように、所詮構造的に統一政府は機能しないと諦めるほうが現実的である。

また、大多数の市民が参加しないファタとハマスの抗争は、いくら激しくなろうと市民戦争ではありえない。いつになるかわからないが次回総選挙で方向がでるだろう。

● 金色のドーム爆破
サマラのシーア派モスクが見るも無惨に爆破された。昨年破壊された金色のドムの後片付けが終わっていないのに、残った2本の尖塔が破壊された。角も頭も欠けた「アスカリ廟」は、金堂と五重塔が破戒された唐招提寺みたいなもの。宗派間抗争がまたぞろなのか、マリキ首相が決めつけるようにアルカイダの仕業なのか、シーア派市民はスンニ・ミリタントによる爆破だと言い、米軍の意見ではシーアが寺院内に蓄えている武器弾薬が外部からの攻撃で爆発したという。しばらく隠れていたサドルは『イスラム教徒はこのようなモスク破戒をしない。米軍かその手先がやった』と、あいかわらず米を目の敵にした声明を読み上げた。しかもイラク全体ではこの米根悪論が広く信じられているのです。

● 国内平穏なイランとシリア
米がテロ国家と呼び非難してやまない独裁国家イランとシリアは皮肉にも独裁国家サウジ、エジプト、リビアより外見上はるかに国内治安が行き届いている。
今日のようにボンブが多発、情勢が悪化すると『触らぬ神に祟りなし』というか、アメリカは介入を控えるべしです。上院議員のリーバマンといえば昔々運動した兵器削減イニシアチブにより毎年ノーベル平和賞候補にあがる重鎮、その人が先日イラン武力攻撃を進言した。イラクに侵入したイランの勢力に米兵が200人殺害されてジっと我慢するのか!って。でもね。よその国で軍活動を3年以上も続けて容認されますか?そこが間違い、いちど撤退して、やっぱり来てくださいとイラク国民から頼まれれば大手をふって出直せる。

● 余談:アルバニア、すりのお手並み
前回コソボ・アルバニア人の犯罪とコスっからさを揶揄した通り、あの歓迎のアルバニア市民と握手するブッシュの腕時計がいつのまにか消えてしまった。ブッシュの伸ばした左腕に写った腕時計が、市民の数本の腕にもみくちゃになったあと再び写ったブッシュの左腕には腕時計が消えていた。この映像はあちこちのサイトで見られます。ま、スポリと落ちたのかもしれない、ホワイトハウスは紛失したことにして、ノーコメントでした。(了)



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