安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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アルバニア、ブッシュ歓迎の嵐
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〈 2007年 6月 11日 月曜日 〉


●ブッシュを大歓迎したアルナニアの熱気
ブッシュが動くと嵐を呼ぶ。ブッシュ8日間の欧州ツアー、7日目の今日(10日)はアルバニアの首都ティラナでは大歓迎の嵐に囲まれたブッシュでした。ブッシュ来訪を、星条旗とブッシュ笑顔のプラカードを掲げた大群衆が集まる……そんな国がこの世界にまだあるのですね。驚きました。ブッシュはノータイシャツをまくしあげ、握手を求める群衆にもまれて満面喜色、ひさびさののテキサンぶりが見られました。

アメリカ人もさぞビックリしたことでしょう。ホワイトハウスはイラクとアフガニスタンへ派兵してくれた返礼訪問と、歓迎ぶりを世間に知らしめる目的もあって、最終訪問地をアルバニアと明9日のブルガリアを選んだ。ビックリするのはアルバニア問題、バルカンの紛争経緯が世間に知られていない証左であって、アルバニアにとってはチトー処刑以来かわることなく支援してくれたアメリカへの長年の感謝を顔で示すはじめての機会なのでした。ブッシュはコソボ・アルバニアンから『足長おじさん』みたいに慕われているのでした。

ドイツ、ロストックやローマでの凄まじい反グローバル・反米デモに比べてなんという様変わりか、ローマとティラナの距離はわずか600km、イタリアとアルバニア両国のあいだはアドリア海をはさんで東京-横浜間しかない。それでいて歓迎のこの大差はどうだ。国境と民族の歴史的しがらがいかに深いか、欧州とロシアのヘゲモニーが絡んでさらに複雑化し、まだ独立を果たしていないのがコソボ自治政府である。

●最後にのこったコソボ独立
セルビアのアルバニア人地区コソボはセルビアの南部、アルバニアに埋まるように接しいている。スロベニア。クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、昨年はモンテネグロが続々と独立してゆくなか、コソボはまだ独立を許されていない。セルビア軍とアルバニア系ゲリラの紛争仲介にはいった国連(米軍とNATO)が1999年以来暫定的に統治しているが、自治州のまま独立を阻まれてきた。セルビアに影響力を持つロシアの反対とイタリアなど近隣欧州各国のお家の事情により独立支援がイマイチなのである。

アルバニア語を話す、いわゆるアルバニア人はバルカン半島の数カ所に離れて居住しているが、被圧迫民族共通の結束力は旺盛で、『アルバニア人のす住む地域は共同体独立国家たるべし』という大アルバニア主義がある。ボスニアは90%がアルバニア人である。ボスニア独立を悲願するアルバニアでの記者会見でブッシュは:
"At some point in time - sooner rather than later - you've got to say `Enough is enough. Kosovo is independent. The question is whether there's going to be endless dialogue on a subject that we've already made up our mind on. I'm worried about expectations not being met in Kosovo. And therefore we'll push the process."
『ある時点で、遅かれ早かれ『もう充分、コソボは独立する』と言わねばならない。問題は、われわれが既に決心している事柄ををいつまでも議論していていいのかってことだ。わたしはコソボ(独立)への期待が叶えられるか心配している。だからプロセスを進めるつもりだ』。
アルバニアン感涙の言葉である。同時にあくまで話し合い継続を主張するプーチン激怒の言葉である。ブッシュは欧州8日間の旅で、欧州主要国をがっかりさせ(CO2排出規制)、バチカン信者を不快にし(法王拝謁態度が横柄)、プーチンと一悶着し(チェコとポーランドに「ミサイルの盾」設置計画 およびコソボ独立支援)、中国を怒らせた(チェコでの人権演説で中国非難)。ユニラテラル大統領ブッシュの基本は揺るがない。旧ブッシュファンである小生の感想は60%頼もしくあり、40%迷惑であります。その辺を次回に。(了)



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