安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
グリーグを語る(初めに)
------------------------------------------
〈 2007年 5月 31日 木曜日 〉


●想い出、グリーグの家の戸外コンサート
当地ベルゲンではただいま音楽祭の半ばがすぎ、昨日などは陽光燦々、スカッと澄み切った美しい日になりました。当地出身の作曲家エドワルド・グリーグをフィチャーしたこの『ベルゲン音楽祭』は今年で51回目。家内は初回の開演コンサーとをよく覚えており、わたしは第15回から当地に住むようになったのでした。

初めて当地に来た春の音楽祭は、市内のグリーグ・コンサートホールが完成したばかりで、市民の参加意識が高く、小振りながら熱気がありました。グリーグの家で行われた演奏会にゆくと、居間のグランドピアノを使ってグリーグの歌曲が演奏されるのでした。少数の賓客が居間のソファーに座り、ソプラノ歌手が庭に面したサンルームに出て歌う。聴衆は花壇の周りのベンチに座れたラッキーな者以外立ったままである。ピアノの音が室内でこもり、音より、雰囲気である。石の上に腰をおろして寒かったあの光景がなつかしい。

聴衆全部で100人くらいだろうか、これが音楽際のグリーグプログラムの一つでした。当時はグリーグの家に付属した博物館と瀟洒なコンサート・ホールがなく、地下の音楽教室で小学生のクラスが授業にくるというのどかな場所でした。毎年日本人だけでも2万人くらい訪れる観光地となり、音が出るのかおぼつかない居間のスタインウエイを横目に、小さなサンルームを通ってどかどかと庭へ出るのですが、まさにあのお膳立てでコンサートが開かれていたのである。

またオールド・ベルゲン戸外博物館にはグリーグの生家であった市内の建物が保存され、ここでもベルゲンのグリーグ弾きであったアウドゥン・カイサーが解説しながら聞かせてくれるピアノの夕べがありました。30人も入れば座れる余地のない居間である。グリーグが生きていた頃、ベルゲンのちょっとした家ではこういう音楽パーティーが毎夜どこかで楽しまれていたにちがいない。

音楽祭は世界各地であまりにも多くなった昨今、いまベルゲン市民は知らん顔だ。今年はグリーグ没後100年祭ということで、久しぶりにグリーグが多く取り上げられているようですが、演目の間口が広すぎ、ジャズ、ロック、バレー、演劇、絵画、ゲイジュツと勝手によぶアマチュアのお遊びまで200以上もプログラムがある。

わたしは最近ベルゲン音楽祭にトンとご無沙汰していますが、先日、ひとりでこの音楽祭を聞くために日本から来ている女性にグリーグが大好きな日本の女性合いました。ちょうど我が家に来ていた長崎美穂子さん(グリーグ専門で、チェンばロ奏者http://www17.plala.or.jp/griegmihoko/index.html)の知り合いで、グリーグオタクの優雅な方でした。

このところ忙しくしていたので、書きたい国際ニュースが溜まり重なり、ちょっと手に余るようになってきました。ということで、前書きだけになりましたが、次回からグリーグについて少し続けてみようとおもいます。
(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る