安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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『米中戦略経済対話』2連敗したUSA
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〈 2007年 5月 24日 木曜日 〉


●米を自由に批判する中国代表たち
ワシントンで開かれた「第2回米中戦略経済対話」で、ポールソン財務長官が率いるアメリカ側は冴えない。ハッキリ負けました。昨年12月の第一回に続き連敗だ。呉儀副首相が連れてきた大ミッションの面々は米を遠慮なく自由に批判している。日本のミッションではこういう風に行きません。かつてアジア開発銀の黒田氏が官僚時代、貿易不均衡を話し合う日米通商交渉でタフ・ネゴシエーターと呼ばれたが、逆襲するまで至らなかった。

『アメリカは経済の国内問題を中国に政治化して非難している』ってのは、どこかで聞いたような。『中国の国内事情から反日感情を煽動する』のと同じ手口でありますな。米経済の国内問題とは政府の財政赤字と米国民の低い貯蓄率が貿易不均衡の一因になっている。そう詰め寄られると米も弱い。

●吊るし上げられた米側
会議では中国側からなぜWTOに提訴(輸出補助金とニセブランド)したのか、なぜ対中経済制裁(光沢紙)を課したのか。対話によって問題解決をはかるべきではないのか!と、米側スーザン・シュワッブ通商代表がつるし上げにあっている。過去中国の政策を認めて荒稼ぎしてきた金融マンのポールソンは中国側からたいへん尊敬され、つまりナメられているのです。

小泉首相との会見をドタキャンしたあのゴギはんからポールソンは「貿易イッシューを政治化することは罷りならぬ」と釘をさされた。でいながらポールソンはウオールストリート出身らしく『相互利益と良好な関係』に役立ったと会議の成功を中国人と一緒に喜んでいる。どしてこんな男をブッシュは選んだのか。現今、中国とことを構えたくないからでしょう。

さて、合意した事項は米中間の航空便を互いに増やす事と中国金融市場の開放、外資金融機関が人民元建てで購入できるの株を300億ドルまで引き上げる。でもこれはいままで長い交渉で固まった合意の署名儀式であり、これをもってポールソンが「多大な成果、信頼醸成に役立った」なんてのはあとでかならず問題になります。

●地に落ちたブッシュ米の威信
米側の要求は基本的に前回とウリ二つで、1)「人民元」の切り上げ、望みは30〜40%。2)知的著作権の保護、海賊版撲滅。この二つが柱です。この米側要求に中国は米が爆発しないようほんのちょっぴり歩みよって切り抜けてきた。昨年は上下0.3%の限度付きフロートで、今回は会議前に0.5%まで引き上げた。今度もそれで凌ぎます。それで凌げる自信があるからというより、ブッシュは足下を見られてました。

それに関連して別のはなしですが、イランのモタツキ外相が今月当地に来たとき、核開発を止めなければ米の攻撃に心配はないかと問われて『アメリカはイランを攻撃しない、もうひとつのイラクを作る力はない』と達観、つまりなめ切ってます。国連とIAEAはもとからナメラレていましたから、イランの核開発が滞ることはない。

●中国の万歳(マンセイ)反応
時間の余裕がないので書けませんが、中国各紙はいいなりにならない中国代表を持ち上げるコメントであふれています。なかには『米は政府。議会、企業、市民が一丸となって中国経済政策にイチャモンをつける。中国は一政府だけが対応するので損である。人民会議員および市民も共闘に参加できるように政府は働きかけなければならない』。アホ、それをしたら反米の嵐がおきて、アメリカはキレますぞ。北京がそんなアホしませんよ。迎合記事なのかしら。(了)



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