●狼(ウルフ)の悲しき遠吠え
ウルフォヴイッツ世銀総裁の形勢わるし。女友達優遇スキャンダルのあと味方を取り込むべく動いていました。就任後、支援に力を注いだアフリカ勢のサポートは取れましたが、ヨーロッパ勢の反撥が強く、それは知人や友人や仲間を取り立てる恣意的なウルフのやりかたに非難があったからで、恋人の件だけではなかった。『愛に溺れ、愛人にも振られた気の毒な総裁』だけじゃなかったのね、ザンネン。人は見かけによらない、あとは白旗を勇敢にあげてくだされ。
●後任はゼーリックか?
同時に後任選び、ウワサですがいろいろ名前が取り沙汰されている、今先頭に立っているのがゼーリックだそうです。通商代表だったRobert Zoellick、親中国のゼーリックです。その前はブッシュ・シニアの国務副長官でしたからブッシュ人脈で、しかもイラク戦争には関係していない表向きのクリーンさがあります。今何をしているかといえば、ゴールドマン・サックスの国際関係副会長兼営業部長なのでした。金のなる木、中国にぞっこんの金融界にいました。
もう一人、世銀内部から渇望されているトルコの元財務大臣で、現在は国連開発計画の責任者であるケマル・デルヴィス。世銀にもいたことがある。この人は親米ムスリムだから、ひょっとするとブッシュがOKするかも。ウルフォヴィッツの場合は適当な政府関係転出先が見当たらず、ブッシュが押し込んだのですが、世銀の総裁人事にはもう少し政治的なカケヒキを考えるでしょう。するこのKemal Dervisは世間の喝采をあびる人選におもえる。
●弁士ロワイアル
旧聞に属しますがわたし、サルコジとロウィアルのTV討論を最後の30分ほど見ました。つまらないので書かずにいましたが、社会党ロワイアルさんについて備忘録です。ヒートアップした箇所はダイジェストのニュースでしか見てませんが、身障者待遇について:
サルコジ『激高するのは良くない資質です』
ロワイアル『いいえ私はカンシャクおこしていません、怒っているのです』(3度ほど繰り返して遮る)
帰途の婦人警官が襲われた事件について、
ロワイアル『私が大統領になれば婦人警官の遅い帰途にはガードをつけます』(公務員カットじゃなかったの?)
政策の具体策を聞かれて
ロワイアル『ノン、私は言えません(知りません)。わたしはいま社会正義を議論しているのです』(威張ることじゃないす)
●巧言令色鮮し仁
ディベートの優劣はあきらかにロワイアルが弁舌よどみなく、サルコジに勝ちました。あるべき社会の理念は口にあまく、言葉も滑らかになる。したがってロワイアルの同時通訳は解りやすい。それにひきかえサルコジは個別事情を資料も加えて話すので理路整然とはいかず、なにを言ってるのか同時通訳がうまくいかなかった。
巧言令色鮮し仁(こうげんれいしょくすくなしじん)とか申して、討論で勝てば票が伸びるなんてことはないのです。ケリーVSブッシュのTV討論で証明済みだ。それでよいなら首相でも閣僚でも手玉に取る討論上手な超ど級のジャーナリストがみな国のリーダーになれるわけで、世人はそんなにバカではない。人格全体を第6感が判断してくれる。でも『彼女は良くできるわね〜』と見た目の判断するバカもまた多いのだな。で、黙っていタ。次回はフランスモノをコラムにします。(了)