安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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女王陛下のアメリカ征服
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〈 2007年 5月 8日 火曜日 〉


●アングロ・アメリカンの絆
英米関係、アングロ-アメリカンの絆にくらべると日米関係などはママゴトだな〜。そんな感慨でクイーン・エリザベスIIのワシントン訪問を7日、ナマ放送で見ておりました。ホワイトハウス南芝生は日当りが良くて、女王陛下はちょっとまぶしそう。

芝生のゲストが数千人、チェイニー副大統領夫妻、ライス国務長官、ゲイツ国防長官夫妻らトップがいそいそと特別前列に並ぶ。ブッシュ夫妻は到着リムジンが止まるところで待っている。両国国家演奏や閲兵、21発の礼砲でホワイトハウスに迎えられる首長は数々あれど、総出でお迎えするのはブッシュ政権で初めて、そしてこれが最後になる。招待されてこの日に仕事や出張で来れない人なんていたらよほどの変人だ。

ブレアがどうの、アンチブッシュのイギリス人が大多数といったところで、歴史的アングロ・アメリカンの結びは全く緩まない。それには女王陛下の経験と個人的魅力が大いに預かっているので、なにしろ5人のアメリカ大統領と10回も晩餐をともにした陛下である。ブッシュがスピーチで前回訪問の年代を言い違えそうになり、失笑を買ったとき、当の陛下はチラっとブッシュをいたわるような視線をかえしました。これぞロイアル・ディグニティー。

●過渡期の不幸事
ブッシュは歓迎スピーチにテロと戦う同盟に言及し、イギリスへの感謝を表したつもりですが場違いではなかったか。お返しの女王スピーチはいつものドライユーモアが入らず、たがいつものように佳いお言葉でした。

"A state visit provides us with a brief opportunity to step back from our current preoccupations to reflect on the very essence of our relationship,"
公式訪問はわたしたちが今日の諸問題から一歩さがって互いの関係を、その本質において顧みるよい機会をあたえてくれます。

最初の訪問地、ジェームズタウン400年記念では、この血なまぐさい歴史に鑑み、英国女王の謝罪があるか注目されていた。先住インディアンの殺害、アフリカカン奴隷制度についての謝罪である。ブレア首相がアフリカ訪問で過去の奴隷売買に遺憾の意を表明しているいきさつから女王もあるいはと思われたが、それはなかった。400年もまえのことを現代人が個人的にも国家的にも謝罪する必要はないとおもう。正確には覚えていませんが、歴史の過渡期に不幸な犠牲をみるのは避けられないという意味をうまい言い回しで表現し、未来にむかってに語りかけていました。同感です。正しい歴史観とは謝罪することではない。

●ホワイトタイ着用
さて公式晩餐のゲスト134人、ホワイトタイで行われる。夜の燕尾服はモーニングとは違う、ホテルのコンシェルジェが着ているあれだ。公式晩餐はアメリカではブラックタイのタキシードである。指揮者じゃあるまいしこの日のため100人は新調してますな。かつて天皇がワシントンを訪問されたとき、フォード大統領がホワイトタイの正装で迎えたことがあり、米では非常に珍しがられた。

バッキンガムの公式晩餐ではホワイトタイが多く、ブッシュ夫妻も一度この正装でおもてなしを受けたので、その返礼らしい。とはいえ一世一代の大層な晩餐会とて、これには民主党議員も喜んで陪席いたします。アングロ・アメリカンのヘゲモニーを確認するかのように。(了)



Pnorama Box制作委員会

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