安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
首相辞任を求めるイスラエル
------------------------------------------
〈 2007年 5月 4日 金曜日 〉


●イスラエルの勤め人デモ
またデモのはなし。イスラエルで政府抗議のデモは珍しいのですが、オルメト退陣を要求する昨夜(木曜)のデモは、党派の垣根なく国民の意思がヒシヒシ感じられるラリーでした。イスラエルは失業率がシリア、ヨルダン、レバノン、パレスチナのように半分以上失業といった高率ではなく、多くて8%。したがってテルアビブでのデモはサラリーマンが参加できるように夕方である。それと暴力衝突がない。要するに中東ではイスラエルだけがシビライズされているといってよい。

発端はレバノン侵攻の総括レポート(イスラエル兵二人がヒスボラに拉致された報復にレバノンのヒズボラを攻撃、いわゆるレバノン紛争の政府対応が適切であったかどうか、民間有識者に委託した政府調査委員会)が4月30日ヴィノグラート調査委員長からオルメト首相に恭しく手渡された。この調査結論がコテンパンに首相、国防相の無策を糾弾したのです。

調査委員会の人選を誤ったなどと小手先の失敗ではない。1〜2週間でヒズボラ基地を叩いて拉致されたイスラエル兵二人を取り返すハズが、レバノンの半分を破戒し、イスラエル側には初めての被害者多数を出した。で、拉致された二人は今もヒズボラに掴まったまま。ブリッツ・クリーグ(電撃戦争)で知られるイスラエルが建国以来こんな下手な戦争をやった事はなく、あきらかな失敗。

●オルメトのムダな抵抗と周りの思惑
責任問題はずっと燻っており、オルメト首相が財務大臣だった時に公金着服したとか汚職スキャンダルも持ちあがっていました。そこへ決定的な報告書がでた。オルメトの右腕で第一副首相兼外相のリブニ(女性)がすかさずオルメトに辞任要求、自分がカディマ党首になる準備はできていると、あとで首相辞任は自分が決める事と言い直したが、この人は火事場泥棒だな。

総選挙になればカディマは弱小政党に落ち、リブニが首相になれるチャンスは少ない。今のうちにという魂胆。閣議ではオルメトを真ん中にして右にリブニ、左に副首相のペレスが座る。ペレスはいまのところ板についたダンマリであるが、デモはペレス辞任も求めている。一方ペレスの労働党は連立政権から脱退を協議するという。

それやこれやで政界策士のオルメトは「現状を利用しようとするものは頭を冷やせ」と、憮然とした閣僚を前に弱気を見せない。巷の抗議にも平然としています。木曜日夜、テルアビブのラビン広場を埋め尽くした20万人の民衆を静かに眺めていたそうな。電話による最新世論調査で支持率ゼロの首相が、悠然と辞任を迫るデモを眺める図……世紀末的ブラックジョークですね。

しかし、オルメトが辞任するまでデモは止まないだろう。政府不能になれば辞めるほかないのですが。またクネッセ(国会)ではオルメト不信任が月曜にも提出されるかも。ポスト・オルメトに過去首相を務めたリクードのネタニヤフ、労働党のバラクが考えられるが、正直よくわからない。(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る