安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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礼砲も賓客もないエリツイン葬儀
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〈 2007年 4月 24日 火曜日 〉


●暴れん坊ボリス・エリツイン
破天荒な暴れん坊ボリス・エリツインがなくなった。前大統領なんて蓮っ葉な肩書きをいうよりロシアの初代大統領といってくれよ。プーチンがそう呼んで型通りの哀悼を述べたのにメディアが並ぶ事はないのです。スターリン、フルシチョフ、ブレジネフの共産党政体を倒した怪人であったのです。中国の共産党一党独裁を民主化する中国人がいますか? 

エリツィンを国葬にするはなしはテンで起こらない。もう今日のうちに家族の葬儀が行われ、プーチンはこの日1日をロシが喪に服すると宣言したがそこまで。西側では民主化と自由経済をはじめたエリツインに対する評価は天に届くほど高いので、葬儀に列席したい首長や代表が多いけれど、来たくても来れない状況です。ひっそりとした葬儀はエリツィンに似合わない。

●天国と地獄をもたらしたエリツィン
エリツィンの評価については西側の天にも上る高い評価と、ロシア国内、特に家計が破綻して実際ドン底の生活に落とされた庶民の悪評はまさに天国と地獄の差がある。98年のルーブル暴落は1929年に始まったアメリカ大恐慌より過酷だった。

またチェチェン空爆や、ユーゴスラビア空爆ではわが怒り心頭に発したものです。民主化も事実、保守派がたてこもる議会、日本なら国会議事堂にあたるビルに戦車からロケット砲を撃ち込んだのも事実であるゆえ悩ましいが、プーチンは前大統領のご指名で大統領になれた恩があるだろう

アル中心臓病みでなおセクハラに精出す無法松エリイツィンは、大統領末期の2年前ほどから平均3ヶ月のローテーションで首相を更迭した。最後に指名した首相がKGB内でも中堅で無名のプーチンでした。4ヶ月後、日々の執務さえおぼつかなくなったエリツィンが引退したから今日ののプーチンがある。あなた恩があるでしょう。ま、プーチンに恩を言ってアカンわな。エリツイン残党の処分はメ実業家ベレゾフスキーのメディアを潰したとき、事実上終わった。

●ベレゾフスキーとプーチン
プーチンが任期中にし遂げておきたい事はこのベレゾフスキー(B)を裁く事。ロンドンに逃げたBをエアロフロートのお金を持ち逃げしたとして引き渡しを要求したロシア警察にストロー外相がノー、では政府転覆謀略の罪でまた送還するよう要請しています。そこへ亡命元KGBが放射性物質で殺されたもんだから、ベレゾフスキーの身はイギリスが護ってくれる。というのでBは英メディアでエリツィン礼賛を展開しています。かつてはクレムリンのキングメーカーであったBは当初プーチンを支持していたが、オルガルキたちを目の敵にするプーチンには通じなかった。(脱線したので戻します)

●亜流のワレサ、賢く選んだトウ小平
プーチンに情があるなら最近の病状悪化を知っていながら、誰も政界からから見舞いにいかなないなんて薄情なことはするまい。エリツインの業績とロシアの経済破綻など読め切れない量の報道があるので要約すら飛ばすとして、共産政権を一度はは倒した人物にポーランドのワレサがいる。政治の経験も平均的学識もなかった無能力が露呈して大統領に祭り上げられ、無害になったのでノーベル平和賞を貰った。

中国のトウ小平は共産産労働形態からキャピタリズムに180度転換し、しかも奇跡的に成功したが、一党独裁の統治システムを触らなかった。エリツィンは逆に一党独裁を廃止、民主主義に成功したが経済自由化に失敗した。一挙に政治体制と経済の二兎を追うのはムリ、望まない方が無難という教訓です。

余談:ウオッカのプーチンが亡くなり、葉巻のカストロはまだ生きている。ストイシズム的生活をしてきたせいで意外にしぶとい。気の毒なのは脳梗塞で倒れたイスラエルのアリエル・シャロンです。オルメトが継いだ事も知らず、ハマスが選挙で勝った事も知らず植物人間のまま1年4ヶ月も生かされている。仮定として、少しでも意識があれば、ハニヤがパレスチナ首相と聞いたとたんにきっと憤死していますね。(了)



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