安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
女性で躓いた秀才・ウルフォウイッツ
------------------------------------------
〈 2007年 4月 14日 土曜日 〉


●世銀総裁は独身7年目
ネオコンの旗手、イラク戦争を計画推進した国防相No2 のウルフォウイッツが世銀総裁に華麗な転身を遂げてから2年がたちました。その間、とてもいい評判でしたが、愛人の人事でつまずきました。ナミの総裁なら辞任まちがいなし、ですがウルルフォウイツは自ら辞める意思はない。進退は世銀理事会の判断に委ねる。どんな勧告が出るか、まだまだ先の事ですから件の背景を見ておこう。

Paul Wolfowitz,以下Wと略します。ポーランド系ユダヤ人で宗派はユダヤ教徒。学歴、職歴はこれ以上考えられない最高の経歴をもつ。エ−ル大学の政治科学博士ですがそのテーマは『中東に於ける核の拡散』という。フルの現役では最後になるだろうこの期におよんで女性で失墜するとは、人間のふしぎですね。離婚7年目のできごと。

Wは68年に学生結婚して3人の子供がいる。2002年に離婚、したがってブッシュ政府の一期目に国防相にいたときは独身だった。そういえばラムズフェルドとWのふたりは夫人といるところついぞ見なかったな。そのころ世銀の中東課で渉外の仕事をしていたアラブ系のシャハ・リサ(Shaha Riza)さんと知り合い、『中東に民主主義を』で意気投合し懇ろになった。

●リサさんの転勤補償と昇進給料
さて、ブッシュの後押しで世銀総裁になり、愛人が同じ職場にいるのはよくないという規定が世銀にあるそうで、Wは就任早々人事倫理員会と相談しリサさんを移転することにした。ここまでは全て良し。失敗はリサさんのその後の行く先を人事課と相談せず勝手に国務省に破格の待遇で移動させた事。力があるから命令的にやってしまった。

リサさんを国務省に給料2段階昇進で転任させ、リサさんはコンドリサ(・ライス)さんより多い193.590ドルを移転補償と年棒で受け取ったとされる。世銀へは米が最大出資国なので財務省から監査役を派遣しているが、監査役によると世銀から給料が出ているそうだ。実体は出向である。

転勤先紹介くらいなら問題なくすんだところを、補償やら多額の給料が職員の妬みをかったのでしょう。世銀職員13,000人の組合は辞任を要求しています。開発国への財政援助に汚職をなくそうと努力しているてまえ、世銀のボスが汚職をやっては部下へのシメシがつきませんわな。現在リサさんは国務省を去り、国務省の外郭団体『未来基金』という国際組織で働いているが、ここでも世銀から給料が支払われている。

●きれのよい謝罪の弁
スパっと切りのいいところがボルトン前国連大使ににている。両方とも秀才、Wは大学で数学もやっていたからでしょうか、謝罪は誠意があるのかないのか感情を交えず簡潔、へたに動かない。しかしなかなかいい謝罪の弁です。
"In hindsight, I wish I had trusted my original instincts and kept myself out of the negotiations," he said. "I made a mistake, for which I am sorry." "I take full responsibility for the detailsof the job transfer. " "I did not attempt to hide my actions nor make anyone else responsible."
訳:『顧みて、最初の直感にしたがって(転勤の)交渉にタッチしなければ良かった。間違いをおかし、それについては申し訳ない。転勤の細部にわたり全責任はわたしにある。自分の行いを隠しもしないし他人に責任を転嫁しようとも考えない。』

余談:Wは世銀に移ってから立場上イラク戦争を徹底して口にしません。世銀を辞めたらコメントを聞かせてほしい。はやく辞めないかな。(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る