安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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温家宝の中国外交に違和感
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〈 2007年 4月 13日 金曜日 〉


●賛辞をを横取りする
来日した中国PMウェン・ジアバオ(温家宝)の国会演説が内外でずいぶん良い評判です。阿部首相はメルマガで自分のイニシャチブを冒頭つぎのように自惚しています:
私が総理となって初めて取り組んだ外交課題が、中国と共通の戦略的利益 に立った互恵関係をつくること。私が総理就任後直ぐに北京に飛んだとき、 「氷を砕く旅」と評されました。北京、東アジア首脳会議が開かれたセブ島と会談を重ね、今回の会談が実現しました。温家宝総理は、この訪日を「氷 をとかす旅」にしたいと表現されました。

概してその通りなんでありましょうが、すべて中国次第の対日外交戦略によるもので、ポスト小泉の総理ならだれでもできたことではないでしょうか。小泉さんは中国首脳といつでも会うと言い続け、会うのを拒否し続けてきたのは中国側だ。他人の成功は私の成功、私の失敗は他人の失敗にするひとっていますね。おらが成果を自慢する人はウスッペラク見えます。

●定説歴史観の不可逆
阿部さんにはわるいけれど、海外の論評は温家宝が日本の歴史問題にもかかわらず、友好の手を差し伸べたというような論調が殆どで、CNNともあろうものが南京虐殺の妙な映像(裸の幼児が爆撃で焼ける町の路上で泣き座っている映像、これ有名なベトナム戦争の写真です)をつけてレポートしていました。

靖国神社は戦犯を祀るところ(それだけじゃないってのに)、南京虐殺35万人、このふたつは世界のジョーシキになってしまった。温家宝は直接口にしないが歴史認識は代わらない。抗日博物館の数を半分に減らし、児童の修学訪問を止めるなら認識変化ありと納得できる。ま、むりでしょうな。

とはいえ日中友好、互恵関係は慶事である。意固地に中国が反対してきた日本の国連加盟、拉致問題にリップサービスをしてくれた、残留孤児や外国人遺児を土地の住民が育てたストーリーは歴史上あまたあり、中国人(中国政府は無視した)の人道をいまさら恩着せがましく持ち出したことにわたしは違和感をもったが、拍手が多いのにおどろいた。

他国での国会演説は相手国を褒め、自尊心をくすぐらなきゃいけません。こうして欲しいと訴えるのはいいが、少しでも非難すると評判をおとす。その良い例がオーストラリア国会で演説した胡錦濤で、議員からそっぽを向かれ、メヂアから退屈とこき下ろされました。それに比べる温家宝は大成功だろう。中国での評判がまたいいのですが、これもヤラセなのかな。

● 天皇と池田大作のとりあわせ
さて、わたしの感想は物足りない。日本側から軍事予算の急増、無秩序な資源獲得につい問いただした形跡もなく、したがって説明もなかった。また天皇への拝謁は金大中のように横着にみえた。オリンピックに招待すると直奏したとか、池田大作に会いに行くなんてツジツマがあわないなあ。、倫理なき戦略だ。胡錦濤の指示だろうか、中国政府の考え方がいっこうにわからない。これからも振り回されますぞ。(了)



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