安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラン、ウラン濃縮を産業レベルに
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〈 2007年 4月 10日 火曜日 〉


●イランに良い知らせ、世界に悪い知らせ
イランの大統領、フマデディネジャフが立て続けに世界を刺激して怖いものなしの勢いす。核プログラムについて『よい知らせ』があります、という予告で内外の記者と政府高官を前に核開発遂行を宣言。ウラン濃縮を『産業レベル』で開始するという。世界にとてっは『超・わるい知らせ』でした。

会見場所はテヘランから200キロ南にある核施設ナタンツ、西側記者がはじめてこの原子力施設を実際に訪れ、自分の目で見た印象をなまなしく伝えている。イランにはナタンツの他にも核施設をもっているが、ここで1年前はじめてウラン濃縮に成功したその記念の日に因んで今日の日をえらんだという。記念の碑には。その規模は北朝鮮ヨンビョンの設備よりはるかに大きい。

現在ナタンツにはウラン濃縮に使う遠心分離機が少なくとも350ある。イランの原子力開発組織を統率する、企業ならCEOにあたるアガザデ(Gholamreza Aghazadeh)が記者会見で産業レベルというのは大量に生産すること、としか言わないが、大量とは核兵器を作る量であることに決まっている。約3000の遠心分離機を設置する計画がある。すると1年で一発の核弾頭に必要な濃縮が可能である。

●国際社会を敵に回す快感
イランの対外姿勢はこれまで通り、核開発は平和目的であり西側とは話し合いで解決できると言いながら計画をひたすら進め、ここで止めという線はない。国連監視役のIAEAはまったく役だやず、北朝鮮でもイランでも適当にあしらわれて帰ってくるだけ、あれでノーベル平和賞だもん笑わせる。

ではあっても、米英が口は出しても手足が出せない現状ではIAEAが提出する今月末のイラン報告書をまち、5月で期限が切れる国連追加制裁まで具体的な対抗措置をまつ。さ追加制裁決議が成立したとしても中露が履行をしぶる制裁にいかほどの効き目があるだろうか。アフマディネジャフを支持するデモは国際社会を敵にケンカする快感にあふれている。

イランのいう平和利用を信じてあげたいが、世界4位の石油生産国、エネルギー大国がなぜいま原子力発電が必要なのか。また平和目的ならNTP脱退を仄めかす必要もなく、IAEA査察を拒否する理由もない。一目置かれる一級国になるには核保有が欠かせないという中東に普遍の確信があるかぎり核開発を止めないだろう。そしてその確信は永遠に消えないように見える。(了)



Pnorama Box制作委員会

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