安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラン、英水上パトロール隊員を拘束
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〈 2007年 3月 24日 土曜日 〉


●国境のアラブ川
大河を挟んで国境が制定されている場所は世界中、もういっぱいあります。ロシアと中国、ロシアとノルウェーも川を境に国境がある。西部劇映画でおなじみのリオ・ブラボーとリオ・グランデは米とメキシコを隔て、イランとイラクはペルシャ湾に注ぐアラブ川(Shat al-Arab)で国境を接している。

イギリスの海兵隊員7人と乗組員の8人がイランの国境警備船に拘束され、難問がもちあがりました。23日、英軍兵士らが小さな警備で不審船を検査中、あるいはパトロール中イランの警備船数隻に取り囲まれ、イラン側水域に連れていかれたという。

近くで一部始終を見ていた米海軍によると、英軍が検査していた場所はイラク水域であり、日頃のルーチン・パトロールだったとのこと。しかしイラク側は領海侵犯で英軍の3隻を拿捕、乗組員を逮捕したというし、英国防相は無理矢理にイラン側水域へ連行されたという。イランのテレビでは拿捕し水上警備艇から武器と地図がみつかったなんて得意になって放送した。

●テンション高いバスラの英軍とイラン
ペルシャ湾は両岸の各国で海上の国境が複雑になっている。一番奥はイラン、クウェート、サウジに挟まれて真ん中にわずかだけイラクが河口をイランと共有するアラブ川が流れている。ご存知、チグリス、ユーフラテス両川が合流して河口に注ぐ大河のことです。10年ほど続いたかつてのイラン・イラク戦争はこの国境のアラブ川の制圧権をめぐっていがみ合い、一帯に広がる戦車も進めない沼地で、もじどおり泥沼の合戦をやっていました。

今にして思えば、あれは優雅な古典的戦争でありましたな。さて、この河口を挟んでイラクへの密輸、それは車や、冷蔵庫、消費物資ばかりか、武器や自爆テロリストの密入もあるわけで、国際監視団が見張っている。レッキとした国連決議に基づきイラク政府の要請によって見張り検査活動を行っているが、実働しているのは英海軍であり、イラク水上警備隊の訓練も行っている。

この河口を上ったところがイラク唯一の海上貿易港バスラです。英軍の主な任務はバスラを中心に南部の治安を担当している。ここで以前からイランから武器やテロ攻撃の支援に悩まされている英軍がイランの核とイラクへのテロ支援を最も強く非難してきた。ハメネイ=アフマデネジャフの現政権とまともな国ならどこの政府も困っている。どブレア首相のイギリスとは特に関係が悪い。かといって、誰が仲介してくれる?ロシアならできますが………

いま、外交的解決にイギリスは総出で活動中です。で、その傍ら特殊部隊による救出作戦が囁かれており、イランはいま経済制裁の国連決議を前にピリピリしているところへ、英に対してはとりわけ不快におもっている。こういう事件は拘束された兵士・乗組員が侮辱を偲んで陳謝と反省を公表するのを条件にふつう2〜3日で解放されるようですが、バツの悪い時だけに、今回はもたつきそうです。 (了)



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