安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
5年目に入ったイラク戦争
------------------------------------------
〈 2007年 3月 18日 日曜日 〉


●イラク侵攻5年目の反戦デモ
イラク攻撃5年目の日、ワシントンの反戦デモはかつてのベトナム反戦デモを思い出させる画像でした。あの頃はCNNをはじめ現在数局ある24時間ニュウースTVもなかったので、おもに新聞雑誌の写真でしたが、一度も現場にたったことのないわたしには全体のウネリは把握できない。したがって似たような印象をうけるのですが、実際にはベトナム反戦のような規模ではない。両戦争の米兵死者の数を比べても無意味だが、かたや58000人、イラクでは現在3200人である。ベトナム戦ではできない日本にかわって同盟韓国兵5000人が亡くなっている。

政治的な視点にかける宗教団体、人権組織、平和活動家と、軍人家族が主な参加者で、抗議集会をリードする政治家が見えない。ここのところが政府にベトナムを引かせた勢いの市民運動とはかけはなれて弱く、いまの米市民はそこまで団結することは絶対にないとおもう。イラクからの撤退は痛し痒しと思っている人が多いのだろう。今回のデモがイラク戦争のTippin Pointになるなんてのは組織者のおもいあがりにすぎない。

●変わり身をこなす女性政治家
ここでいう変わり身とは個人の経験と成長による変化ではなく、キャリア上の便宜的シフトのことです。民主党はかのナンシー・ペロシ下院議長が柔らかに変身したうえ、イラク追加予算を認め、撤退期日の提案ををやっとこさで決定したその期日が来年8月では、そりゃ民主党を頼る反戦市民殻逃げられますよ。

民主党は多数派になってからずいぶん協力的になり、ブッシュが歩み寄る倍以上に歩み寄っていますね。以前のペロシはちょうど土井たか子さんが社旗党党首として気違いじみた与党攻撃をしたようにブッシュのすることなすこと全てにいちいち難クセをつけてきた女性議員です。ま、土井さんのようにガチガチでなくてペロシさんは良い方向に変身された。

そうはいっても、TPOで意見を変える政治家はイヤなやつでして、そういえば『わたしが大統領になったらイラク戦争はおわります』と見栄を切っていたヒラリー・クリントンさんはNYタイムズとの30分インタビューで(大統領になっても)近い将来にイラクから完全撤退する事はないとの趣旨を、遠まわしに語っている。75000人の駐留米兵がしばらく必要だろうと、民主化支援、イラク兵の訓練、治安、石油もあるし……。どこかで聞いたはなし?そうです、ラムズフェルド前国防長官が主張していた米兵削減計画だ。ラミーはいまどうしていることやら惜しい傑物でした。

余談1:スウェーデンではパ−ション前首相が引退するにあたり、空席になった社民党党首にモナ・サリーンが女性として初の党首に選ばれた。大臣のとき公用のクレジット・カードで使用の買い物をしたいたスキャンダルのあった人。見事にカンバックした息の長いモナさんですが、ナンシーやヒラリーともどももわたしは苦手である。男ならともかく策に長けた女性は甚だ遺憾におもう。

余談2:侵攻5年目を迎えるこの日、豪州のハワード首相がイラクをあちこち訪問、マラキ首相を激励しております。策なし、まっしぐらの心意気。もって鑑となせ!(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る