安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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アムネスティ、中国の労働環境を非難
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〈 2007年 3月 2日 金曜日 〉


●中国の労働環境を非難
アムネスティ・インターナショナルが昨日(3月1日)報道発表した『経済的奇跡の人的代償』The human cost of the economic ヤmiracleユについてです。TV報道や、はなしに聞く中国の劣悪な労働環境の追認というか、状況を述べるだけでなく、構造的な欠陥を衝いている。

個人的にはアムネスティ・インターナショナル(以下A.I.)は正義の方向にラディカルで、すべからく極端な意見は取捨選択するのがよろしいかと。昨日のプレスリリーズは中国の経済発展を支える出稼ぎさんたちの悲惨をとりあげていて、これは「頂き」である。

●『フコウ制度』
中国の出稼ぎさんは引っ越し先の住民権がもらえないことをよく聞きます。『フコウ制度』というのをご存知ですか。中国通ならトックにご存知でしょうが、いわば「居住許可制度」でみたいなもので、法律が出来た時の戸籍は引っ越しても一時的現住所として登録され、おいそれと変更できない。

したがって地方から発展都市部に出稼ぎにきた一時的住人は、登録都市住民が受ける権利を受けられない。たとえば子供は国立学校入学をていよく断られ、正社員労働者になる資格がなく、保健医療支援、その他法的保護ら排除されてる。すると雇用形態はパート、何年働いても一時的労働者からうかばれない。差別された流浪の民はいくらでも恒常的に搾取される労働者なのです。その数1.5〜2億人、地方から各都市へ仕事を求めて押し寄せ、都市によっては出稼ぎ地方人が住民人口をうわまわるほど多いというのに。

●『ああ。野麦峠』中国現代版
1日10数時間、土日も休みなし、工場内の寮に住み、外出は許されないという衣料裁縫の女工さんたちが、門衛に負けない集団で脱走したホントの事件。『ああ。野麦峠』は明治時代でした。あれから百数十年を経てなお中国では女工哀史が起きている。安い中国製衣料は有り難いけれど、作っている地方出身のお針子さんに「ありがとう」とはとてもいえない後ろめたいわたしたち。

中国政府は出稼ぎさんの生活向上に踏み出したけれどこの不幸な『フコウ制度』は依然として継続する。一人っ子政策と両輪の人口管理システムなのでかんたんには改められない。そこでA.I.は言う:"The government must reform the hukou system and also push local authorities to implement existing laws that are meant to ensure health care, fairer conditions of employment and free primary education."
(政府はフコウ制度を改正、地方政庁に催促し、既存法が奨励する保健医療、公平な雇用、無料義務教育(実際には国立でも実費をとる)を施行しなければならない。)
何百万人の児童がまともな義務教育が受けられない。安い労働力の再生産だ。

●雇用主が逃げ出す労働者をくい止めるやりかた
給料あとばらい:2〜3ヶ月遅れで給料を支払う。工場から逃げだせばもちろんのこと、辞めたばあいは未払いの給料はもらえない。正月休みのあと出稼ぎさんが戻ってくるように正月(旧暦)給料は、戻るまで払わない。(了)



Pnorama Box制作委員会

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