安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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米予算案=記録的軍事費
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〈 2007年 2月 6日 火曜日 〉


●国家予算を食いつぶす軍事費
ブッシュ大統領は2008会計年度(07.10〜08.9)の予算教書を議会に提出した。総額2.9ビリオンドル。2兆9000億ドルだからx120で348兆円、でいいのでしょうね。あまりケタが大きくて巨数に慣れないわたしは解らない。が、まず先年より4.9%の伸びであり、かつイラク・アフガニスタンの戦費として既に承認されている追加予算1700億ドルが積み増しになる。軍事費に総額8000億ドルが支出され、国家予算に占める軍事費の割合は他の追加予算や補正予算やら総計して20%を超える計算になるらしい。

わたし気が小さいので、アメリカの経済は大丈夫か心配だ。2012年に財政赤字が黒字に転換するとブッシュは言う。そうなってくれれば御の字ですが、納得できる説明ではない。そしてブッシュは任期中ずっと減税を維持、増税はおこなわないと約束しているのでこの予算は増税せずに作成された。

米の20%以上を占める軍事予算案がパーセントでどれくらい突出しているかというと、イスラエルでも10%です。中国は不確かですが、金額にして1300億ドル。北朝鮮は15%を使っていますが、額はみみっちい。軍事大国に力点を移した景気の良いロシアはいまのところるまだ10%くらいです。

●地球上で使われた戦費の80%はアメリカの拠出
別の角度から、戦費という支出がある。世界中で使われている戦費の80%はイラクにつぎ込んでいるアメリカなのです。2003年イラク侵攻が始まったとき、チェイニーとラムズフェルドは現在の10分の1を戦費として見積もったのだが、ずるずる戦費を拡大させて今日に至った。ブッシュをこれでも真面目に誠実にです、応援してきたわたしですらもう軍事行動はやめるべきとおもう。

さて、08年巨大予算に戻って、では増税せずにどこから伸びた軍事費を捻出するか、どこかを削るしかない。でブッシュさんの削る所は目を瞑っていてもわかるのです。医療保険、農業補助金、教育でありました。

●議会対策に変わり身の早いブッシユ
民主党はこの予算案にただいま騒然です。ブッシュは議会対策となると変わり身が早い。民主党議員に会う時は「軟/引き」、具体的政策案をだすときは『硬/押し』と使い分ける。その良い例が先日下院でおこなった協力協調の演説で『引き』、今回のように提出だけで演説しない予算案(正確には予算教書)にはおもいきり『押し』でぶっつける。

イラク増派の米兵たちがもうすぐバグダッドに参入する。内乱が沈静化するようだとブッシュよりの線で妥協、効果が現れなければ民主党よりの線で妥協するでしょう。(了)



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