安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
柳沢厚労相は辞めなくてよい
------------------------------------------
〈 2007年 1月 30日 火曜日 〉


●「女性は子供を産む機械」発言が文字通りなら……
暴論の極み、とても柳沢伯夫ともあろう人の口から出たとははおもえないのですが。実際、女性に面と向かって『女性は子供を産む機械』なんて言ったが最後、女性から袋だたきにされる。そんなことは大臣良くご存知だろう。

わたし、当地の大学で日本語科が開講するにあたり、手伝えといわれて数年授業をもたされた。ある日『女』という字は女性が座って赤子を抱いている姿。と、言ったとたんに教室の女性からブーイング。『どして女性が赤ちゃんを世話しなきゃなんないのよ』て、食ってかかられました。おちつけよ、私の意見じゃないの。古−く中国の漢字の起源によるとそういう形象文字から変化した。現在の概念と合わないからって批判しちゃいかんです。ま、それでその場はおさまったが、私のなまえ安達の『安』は家の中に赤子を抱いた女が座っている姿、これは平和でやすらかな様を意味する。と、説明しても学生たちはバカみたいといった表情だったな。

さような当地北欧では、イギリスでもドイツでもそうですが政治家が『女性は子供を生む機械』と発言すれば、その人の政治生命はジ・エンドである。議論以前の人間失格者、大臣なら辞表を書く。

●背景、文脈は差別的ではなない
少子化問題での地方講演で問題の発言があったというがヤフーのニュースではどういう文節で出てきた言葉か、背景脈絡がわからない。こんな大問題ならCNNやBBCでも取り上げそうだが、TVニュースにはなかった。ネットをさがすとBBCのアジア=太平洋の部に短い記事 Japan minister rapped on woman(日本の大臣 女性を酷評)が見つかった。首相は発言を不適切とし、厳しく注意、大臣は陳謝したと書いてある。

日本の少子化は2005年の出生率2.16、昨年は6年ぶりにやや増加したがこのまま進めば50年後に人口が30%減少する。人口を維持するためには出生率2.1が必要で、日本は老人比率が世界で最も高い。そういう人口クライシスの背景を解説し、発言を以下のように紹介:
In a speech, Hakuo Yanagisawa had called on women to do their best to counter Japan's falling birth rate.
Mr Yanagisawa had told a local political meeting "Because the number of birth-giving machines and devices is fixed, all we can ask for is for them to do their best per head."

文脈はユーモラスだ。これは統計的な観点から正しいロジックです。『出生の本体と装備の数は決まっている』は女性も混じる聴衆に比喩として不適切ではあるだろう。しかし女性蔑視とか差別はオーバーだ。引っかかるのはそのあと、「女性各位ガンバッてほしい」の部分。で、ここは女性がその気になるよう大臣がガンバラなきゃいけない。主客転倒だ。野党がツッコムならこの部分であって、『女性は子供を産む機械』と単純化した言葉を云々、辞表を迫るなんてのは言い出す方の品が悪い。

柳沢厚労相は日本語のニュースにあるような『女性は子供を産む機械』と直裁な言葉で評したのではない。BBCの記者は差別的発言と思っていないようだ。(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る